世界59
リーフの体が強張る。
色々と姿形を変えて来た赤いモノを見て来たが、初めて心の底から嫌悪感を覚える。
小さな赤ちゃんの体に、クモのように長い手足。
イメージとしては、クモの胴体を赤ちゃんの体に挿げ替えただけだなのだが、
『『『ふぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁ!!!!!!!!!!』』』
「触れるな!!」
その気持ち悪さに、リミィは触られる事を拒否する。
『『『ふぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁ!!!!!!!!!!』』』
この世に産まれたばかりに赤ん坊は、生を求めて手を伸ばす。
向こうの世界を侵略する為に、命に寄生するはずだったモノ達の欠片。
赤ん坊達の魔の手が、次々とリーフに伸び、
「うおぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉおぉおぉ!!!!!!!!!!!!」
リーフは、アソリティの剣を振り回して応戦する。
『『『ふぎゃぁぁぁぁ!!!!!!』』』
『『『ふぎゃぁぁぁぁ!!!!!!』』』
『『『ふぎゃぁぁぁぁ!!!!!!』』』
細長い手を切られて、赤い液体の中に落ちた赤ん坊は、また新たな赤ん坊となって産まれ、それに追随するかのように新たな赤ん坊が生まれる。
「この!!この!!!!」
リーフは、この状況がさすがにマズイと判断して、ここから離れようとするのだが、防戦一方で身動きが取れない。
翼を広げて空に飛び上がり、そのまま逃げ出したという気持ちはあるのだが、空から落下する衝撃を和らげて、今の今まで霊力を使い続ける事で、翼を形成して空を飛べるほどの霊力は無くなっていた。
アソリティの剣を振りながら、ぬめる赤い液体を歩く。
ぬちゅぬちゅとする赤い液体の上を進むのは、足を取られて体力を使い、次々と迫る赤ん坊の魔の手を退けるのに、霊力を使う。
まるで、吹雪の雪山を突き進むかのように、前のめりになりながら苦しそうに進む。
一歩進み、一振りするごとにリーフは疲弊していき……
『『『ふぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁ!!!!!!!!!!』』』
「ぐぅぅ……」
疲弊して身動きが鈍くなったリーフを、赤ん坊の魔の手が捕らえるのであった。




