世界56
「……………」
全ての生物の頂点に立つからといって、死なない訳では無い。
「…………」
神のような力を手にしたからといって、生き永らえる訳では無い。
生物である以上は死は訪れる。
「………」
死を受け入れる事しか出来ないレインとリディに、赤いモノが、アメーバのようになって覆い被さる。
「……」
赤いモノにとって、二体のドラゴンは極上の獲物。
「…」
体は奪われて、魂が分離する。
「」
レインとリディの魂は、赤いモノに沈んでいくのであった。
_______
「こんなの……こんなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!」
その言葉には、諦めない心と絶望が入り混じっていた。
赤いモノで創り出された赤いムカデは、赤い柱に巻き付きながら伸びるのだが、
『『『ズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズル!!!!!!!!!!!!!!!!』』』
それは一匹だけでは無かった、赤いムカデが際限無く生まれて登っていく。
赤い柱の中に生み込まれていた卵が、次々と孵る。
一匹も苦さまいと切り刻むのだが、赤い柱から生まれる無数の赤いムカデの前では焼け石に水。
「こんなの」と叫ぶ声には、この程度のモノという意味と、こんな状況ではという意味が入り交ざる。
まだ心はへし折れていないが、
「こんなの…こんなの……」
心にヒビは入っている。
がむしゃらに、一匹でも多く……多く始末しようと……
『『『キィシャァァアァァァァァァァァ!!!!!!!!!!』』』
「なっ!?」
赤い柱を登っていた赤いムカデが、バラバラと空から落ちて来る。
良いようにされるのが気に喰わなかったのか、何匹もの赤いムカデが飛んで来て、リーフに絡み付く。
赤いムカデは口を広げて、リーフの体に噛み付こうとするが、
「ふざけるなぁぁぁあぁあぁぁああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
『ブッジュゥゥゥゥゥゥゥゥウ!!!!!!!!』
赤いモノで出来ている赤いムカデに、アフレクションネクロマンサー化しているリーフの体を貫く事は出来ない。




