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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
世界
1355/1400

世界55

死力を尽くしての一撃を誤った龍に、死までの余力がまだあるドラゴンを止める術は無い。



体に巻き付いていた龍から力が抜けたのを感じたレインは、腕を引き抜いて、爪を龍の体に刺して引き裂く。



「ガヤォォォッォォォォォォォ!!!!!!!!」



死に体となった龍は叫び声を上げる。



赤いモノで守られていた体は弱体化し、ドラゴンからの攻撃が中を(えぐ)ると、堪らずドラゴンから距離を取ろうとするのだが、



『バギィ…バギバギバギ…………』



その一瞬をレインは見逃さなかった。



自分の体から龍が完全に離れた瞬間で、巻き付かれた折れてしまった羽を無理矢理に羽ばたかせて、龍の頭に喰らい付いた。



『メキメキメキメキメキメキメキメキ…………』



万力でクルミが割られる時のような音が響く。



この音が次に変わる時に、どうなるかは誰にでも想像が付く事だが、全ての力を出し切った龍には抵抗する力は無く、



『メキメキメキメキメキメキメキメキ…………』



レインの込み上げる怒りが不気味に鳴り、



『バッギィィィンンンン…………!!!!!!!!』



込み上げる怒りが爆発した音が鳴り響くと、龍の体がビクンと跳ねて、首根っこを掴まれた猫かのように、だらんっと体が垂れ下がる。



「リディ…………」



死んだ龍を蹴り飛ばして、レインも落ちていく。



体は無事では無い、巻き付けられた時に体中の骨にヒビが入り、筋肉は断裂し、内臓も損傷している。



ネズミが蛇に巻き付かれて目を飛び出させて、口から血を吐く様に、龍の締め付けは、レインに甚大な怪我を負わせていた。



羽を羽ばたかせる事も出来ずに、落ちていく。



(すまないリディ……君の世界を守ってあげられなかった……)



初めてリディと会った日、彼女からこの世界を救って欲しいとお願いされた時の事を思い出す。



自分達の世界に現れるようになった、出所不明のリザードマンの出処を調べるために、こちらの世界からの誘いにのっただけだったのに、リディは、この世界を救う英雄が来たと喜んだ。



彼女の純粋な願いと覚悟に、自分がここに来た本当の理由を告げ、自分はこの世界を救う英雄では無いと伝えたが、それでも失望せずに受け入れてくれて……



(なりたかったな…彼女の…英雄に……)



『ドッスンンン…………』



リディが、横たわる側に落ちた。

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