表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
黒い海
135/1400

黒い海52

「大丈夫でえぇぇぇぇぇす!!!!今からそっちに戻りまあぁぁぁぁぁす!!!!」


危機の去ったここで、状況が分かっている自分は頭を悩ましても良いかもしれないが、事情が分からないみんなは、この黒い海の中では生きた心地はしない。


手の中にある水晶玉を自分の燃料に変えたかったが、それはまたの……


(大丈夫だよ。僕も受け止めるから安心して)


礼人の中にいた子供が声を掛けてくる。


(……そっか…ありがとう)


子供からの言葉に、礼人は迷うことなく水晶玉を溶かし、


(もう少しだけ、力を貸してね)


体の中に染み込ませてゆく。


溶かした水晶玉はすんなりと自分の体の中に染みてくるが、


「うっ……!?」


水晶玉は早鐘を打っている心臓に真っ先に向かって来て膨らもうとしてくる。


限界まで早まっていた心臓に、この力が流れ込んで来てしまっては……


(心臓が破裂する!?)


心臓が無理矢理に膨らませられるような苦しみに、慌てて水晶玉を放出しようとしたが、


(任せて)


礼人の中の子供が膨張しようとする力を誘導すると、白銀に光る蝶の羽が蛍のような緑の蛍光色に変わって、羽も一回り大きくなる。


いつもと違う羽、試しに一度羽を開閉してみると、いつもの白銀の羽よりも暖かく、力強い物を感じることが出来る。


この力、扱い切れるなら魅力的かもしれないが、


(……ダメだな)


あくまでもこれは魂の生命力を使う事になる。


今回みたいな緊急事態ならともかく、守るべき対象を通常時から危険に晒す訳にはいかないし、この力を練習しようにも自分を犠牲にしてでもという献身的な魂が必要になる……


分かることは、この力は常用出来るものでは無い、それだけわかれば十分であった。


礼人は再び、底に沈んで小さくなっていく大きな鯉の蛹に方に目を向けて、


「今度、何か差し入れるから……」


手を引いてくれた大きな鯉に謝意を示して、羽を羽ばたかせると黒い海の中を舞い上がる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ