世界41
赤い柱の中から姿を現した龍。
羽も翼も持たずに、空を飛べるのは、体内に蓄えている気という物が、マナ用に優れているからと言われている……それもそのはず、気を知らない者でも龍と会えば、その場で気という物を感じ取れる。
「龍とは凄い存在だ。生命の一つだというのに、まるで、マナの源流の側にいる様な……あのアフレクションネクロマンサーの少年も凄いとは思ったが……素直に言おう、我々とは格が違う存在とはいるものなのだな」
老齢のエルフは、龍を見上げて微笑んでいる。
エルフこそが、世界を統べる者と信じて疑わなかったが、ここまで種としての違いを見せられたら、反抗をする気も、物申す気も失せるというもの。
『グゥゥォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!』
「逃げろ!!!‼」
『『『…………バッガァァァァァァンンンン!!!!!!!!』』』
『『『ギャッァァ……!!!!!!!!』』』
龍が赤い柱から飛び立つと、赤い空から赤い稲妻が落ちて、全てのワイバーン達が焼け焦げて地上に落ちる。
「くそっ!!くそっ!!!!!!」
それはあまりにも呆気無い出来事。
レインも、赤い稲妻が体に直撃したが、龍を見た瞬間に体が無意識にアフレクションネクロマンサー化したお陰で、赤い稲妻を耐えたが、雷化も、アフレクションネクロマンサー化も出来ないワイバーン達には、全滅する事しか出来なかった。
抵抗の出来無い者達は一瞬で倒され、形勢が一気に変わってしまうが、
「さて、席を外して貰おうか。彼がいては、話し合い所では無いのは、君も納得出来ただろう」
それでも老齢のエルフは話し合うつもりでいる。
「くぅ…リーフ!!ここは頼んだぞ!!!!」
相手の出方が分からず、相手の口車に乗るようで嫌であったが、敵意を向けている龍がいては、こちらが不利であるのは間違い無く、レインは止む無く、龍を引き連れてこの場を離れるのであった。
「レインさん……」
動くだけで赤い稲妻を落とす龍と共に、離れて行くレイン。
一人にされた事に不安を覚えて……というのではなく、
「あのドラゴンは死ぬかもしれない…だが、あの龍がしぬかもしれない。それほどまでに拮抗している者同士の戦い。不安を覚えるのも無理も無い」
老齢のエルフの言う通り、レインが死ぬかもしれないと、不安を覚えたのであった。




