世界33
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赤い空の中、ドラゴン達が空を飛ぶ。
まるで新天地を求めてかのような、群れを形成しての大飛行。
ドラゴンの聖域、空の覇者……生物の中の頂点に君臨する者達の姿は勇ましく、その群れを見ただけで、多くの生物達が恐れおののくが、そんな空の覇者の中に一人の少女が混ざる、先頭を飛ぶ、ドラゴンの背中に乗って。
「レインさん」
「あぁ、戦闘機が来たら君は離れるんだ。心配する事は無い、あれの話は聞いた事がある」
リーフは、レインの背中に乗りながら、例の兵器に付いて話し合っていた、礼人が話をしてくれた、ドラゴン殺しの兵器、人類を勝利に導いた兵器の事を。
「戦闘機はドラゴンを敗北に追いやったと言われているが、実際は、優れた人間達のせいで敗れたと聞いている」
「優れた人間?」
「ドラゴンは、生命の頂点に立つ存在だった。全ての上に立ち、全てを好きなようにする権利を持っていた。他の生物にとっては恐怖の渦中で、烏合の衆となって怯えて暮らしていたのだが、人間の中から戦う意思を見せる者達が現れた。恐怖と絶望のの中でも、未来を勝ち取ろうとする意思を持つ事が出来る者達が」
「それは、アフレクションネクロマンサーなのですか?」
「アフレクションネクロマンサーか……そうだな、確かに彼等はアフレクションネクロマンサーだったのかもしれないな……その勇ある者達が戦闘機という、ドラゴンと戦える力を手にしたからこそ、彼等は勝ったのだ」
ドラゴンが負けた、それはレイン達ドラゴンにとって、屈辱的な話のように思えるのだが、レインは穏やかに、まるで、その話が好きかのように口が笑っている。
「……レインさんは戦闘機に勝てるのですね……だったら、問題はワイバーンの皆さんですね」
「あぁ、ワイバーンの彼等は、戦闘機とやり合うとなったら初めてだからな」
口元が笑っている理由、それが、レインが戦闘機に勝てるからという単純な理由では無いのは何と無く感じたが、その理由を聞くのは無粋な気がして話をはぐらかした。




