世界20
そんなのを、生身の肉体を持つ者が相手にする事が出来るはずもなく、頼みの綱は鉄騎兵であったが、その頼みの綱は、とても頑丈であった。
これは進行する為の歩みでは無い、これはあくまでも銃口を下に向ける為の布石。
こちらの真の狙いは、
『バッサァァァァァァァ!!!!!!!!!!』
「行くかレイン」
赤い雲の中から、レインが敵陣中央に向けて急降下を掛ける。
_______
「例のリザードマンが来ました!!!!」
「掛ったな!!!!信号弾上げぃ!!!!」
その光景は二度目だ。
あの時、乱戦に混ざって地上から降りて来た、羽を持つリザードマン。
そのリザードマンが圧倒的な力を持っていたのも見たが、巨大な地上を這うリザードマンに対して、敵対していたのも見ていた。
そこから羽を持つリザードマンは、第三陣営であるリミィの者の所だというのは想像に難くなく、万が一ではなく、空から奇襲を仕掛けて来る事を念頭に置いて、
『『『ズッダッダッダッダッダッダッ!!‼!!!!』』』
機銃車を配置していた。
幾重に重なった弾丸が、羽を持つリザードマンへと飛び交うが、
『バッサァァァァァァァ!!!!!!!!!!』
地上にぶつかる勢いで、加速する羽を持つリザードマンに狙いが定まらない。
「あれでは!?」
「問題無い、相手は避けている。避けているという事は、あれを喰らえば負傷するという事だ。慌てずに、撃ち続けさせろ」
こちらの武器は、魔法よりも殺傷能力の高い弾丸と手数。
最初の時点で落とせれば、それに越したことは無いが、重要なのは弾幕を張り続ける事で、それは、魔法の時から一切変わっていない。
銃弾が飛び交う中を、羽を持つリザードマンが加速して避けていたが、
『バッッッ……サァァァァァ!!!!!!』
加速で避けるのが難しくなって、羽をバタつかて宙を泳ぐように避け始める。
「押し込め!!!!相手は嫌がっているぞ!!!!」
本陣へと突っ込んでいた軌道を、弾丸を避ける為の軌道に変えた時点で勝敗は付いた。
弾丸の雨のせいで、上昇を掛けられずに、宙を右往左往するだけで精一杯の羽を持つリザードマン。
「そのまま落とせ!!!!」
弾丸で空への道が塞がれば、地上の鉄騎兵を狙う弾丸に身を晒す事になる。




