世界19
木々が邪魔をして、弾丸が木に吸われてしまうのもそうだが、
「不死身の兵士を相手にするのだから、全力で、その体を破壊しなくてはな」
弾丸を喰らっても即死しない鉄騎兵というのが、中々の曲者であった。
鉄騎兵が銃弾を受けて死ぬ事は無いが、体は破壊出来るというのは、これまでのオーク達の戦いの報告で分かっている。
オークの拳を何発も耐える鉄騎兵を前にして、木々に弾を吸われては機銃車と言えど、鉄騎兵を倒すのは苦戦する事になる。
「しかし、サイクロプスはどうしたのでしょうか」
「うむぅ、あの巨大なリザードマンとやり合って、死んだのかもしれないな。その隙を突いて、リミィの軍が侵攻して来ているのかもしれないな」
「良いのですか、サイクロプスを死なせて?」
「気にする事は無い。あれは使い捨てにして進軍に使えと言われている」
後から送られて来た、増援のサイクロプス。
本国からは、前線に送って使えば、それだけで良いと言われた存在。
「そうなのですね……しかし、あのような生き物がいたとは驚きです」
「まったくだ……さて、始めるぞ。迎撃開始だ」
「はっ!!信号弾上げろ!!」
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「敵の攻撃が開始されました」
「えぇ、レンスなら上手くやってくれるわ」
「はい、破損した鉄騎兵の鎧を二重に着させていますので、ご安心下さい」
リディは、ギークギラを側に置きながら、鉄騎兵達の動向を見守る。
機銃車の攻撃は、手数だけじゃなく威力もある。
そんな物を、ずっと雨が降る様に曝されては、鉄騎兵でも倒れてしまう。
鉄騎兵達は、腕を前でクロスしてゆっくりと進む。
弾丸の雨を鎧でしのぎながら一歩二歩と前に出て行く。
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『『『ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ!!!!‼!!!!』』』
「問題なさそうだな」
レンスは先の方で問題無く進行する鉄騎兵を見て、問題が無い事に胸を撫で降ろす。
屈強な肉体を持つオークが、機銃車によって、次々と倒れたという話をリーフから聞かされた時は、不安を覚えた。
弾丸が体にぶつかると、まるで小動物が噛み付いたかのように体に穴が空き、穴が無数に体に出来て、血が噴き出る。
小さな穴だが、それが体を喰い破って死に至る。




