世界17
闇夜に紛れて次々と拠点の敷地内に入り込む者達、その姿は、ドラゴンに似ているが、少し違う出で立ちをしている。
「彼等はまだ、血を覚醒させてから日が浅くてな。ちょっとした事で暴れてしまうかと思って来たが、堂々としたものだ」
どうやらレインがここに来たのは、彼等を迎える為というよりは、彼等が暴れ回らないように、万が一暴れた時に、取り押さえる為だった。
リーフとビレーは、あれが何なのかと聞きたそうにするが、
「これなら、心配する必要は無さそうだが、彼等の紹介は明日にさせてくれ。念には念をで、刺激をさせたくない」
レインは羽を開いて、彼等の下に降りていってしまい、
「ここはレインに任せて、私達は戻りましょう。その間に、簡単に彼等に付いて話しましょう」
リディは、この場をさっさと移動してしまう。
「リディさん!!」
『グルゥゥ……』
「リーフ、長距離を飛んで気が立っている。大きな声を出さないでくれ」
「ご…ごめんなさい……」
さっさと行ってしまうリディを呼び止めようとして、大きな声を出したのだが、それが彼等を刺激してしまい、レインに注意されてしまう。
「ほらっ、こっちに来なさい。中なら大きな声を出しても大丈夫だから」
「はい……」
リディに呼ばれて、シュンとしながら拠点の中に入る。
リーフとビレーの二人が拠点の中に入った所で、
「それじゃあ、歩きながら説明するわね」
リディはまた、歩き出す。
「彼等は、血を目覚めさせる事に志願してくれた者達の中から、ドラゴンの秘宝に適合した者達よ」
「無理矢理ではない」
「えぇ、ドラゴンもどきを創っているという知らせが届いて、鉄騎兵だけでは抵抗出来無いのは、簡単に予測出来たの。戦う為には、向こうのドラゴンもどきと同じように、ドラゴンの力を持つ者を目覚めさせないといけないと」
それは決して大げさな話では無い、現にサイクロプス相手には、その体格差で鉄騎兵は押し込まれてしまっていた。
「血が目覚めたのは良いけど、気性が激しくなってしまったわ。気を落ち着かせる為に今の今まで、静養させていたのだけど……この戦いには、出来るだけの戦力を用意した方が良いと思ったの」
リミィが、鉄騎兵という切り札を用意してくれたように、リディもまた、切り札を用意していたのであった。




