世界16
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朝日が昇り、遂に新たな戦いの幕が登る。
三日という短い時間の中で、多くの者達は気力も体力も充実させて、顔色の血色も良くなった……のだが、
「この人達が……」
「そう、志願した者達よ」
『グルゥ……』
「「「おぉ……」」」
唸り声を上げて返事をした者に、多くの者達の顔が引きつる。
拠点の敷地にいるのだから、それが自分達の仲間だというのは分かっているのだが、
「ドラゴンに近しい者、ワイバーンだ。ドラゴンもどきとは違って、由緒正しき者達だ」
唸り声を上げて返事をした者の名はワイバーン。
コウモリのように腕から膜を張り、四足歩行で手と足を地に付けていて、とても体が大きい。
それは、オークを乗せられる籠のように大きくて……全長だけで言えば10mはありそうであった。
そんなワイバーンが拠点の敷地内にいる事情を話すには、少し話を遡る。
城壁の上で、揺らぐ思いを決意に変えて、新たな戦いに挑むばかりとなっていたリーフの側に、
「良い決意だわリーフ、あなたのその決意には、リミィと同じものを感じられるわ」
「リディさん、それにレインさん。なぜここに?」
戦いを備えて休息を取っているはずのレインを引き連れた、リディが来ていた。
リディは、リーフ達と同じように城壁の方に立ち、
「全ての元凶である本国を亡ぼす。そして、この世界にいる命達で、世界をやり直す。それが、リミィの願いであったから……」
この世界を滅茶苦茶にした元凶である、本国の方を睨み付ける。
「そして、その願いは決してリミィの独り善がりの想いじゃなくて」
『『『バッサァァァァァァァァァァァァァァ』』』
「この音は?」
遠くから、風を切る音が聞こえる。
「その願いは、我々みんなの願いだ」
レインが、風を切る音が聞こえる方に体を向けたので、釣られて同じ方角を見ると、
「あれは……ドラゴン?」
「あぁ、ドラゴンと同じ、誇り高き戦士だ」
空を飛んで、こちらに飛んで来ている者達がいた。




