世界12
リーフは、回って来た会話のお鉢を受け取り、
「このまま撤退をせずに、前進する事を提案します」
これからすべき事を、お鉢の中に注いでいく。
「前進する……リーフ、私もフレン達を取り返したいと思っているが、状況は理解しているのかい?」
アルフアは、話の主導権がリーフに変わり、その方針を決める事さえ許されている事に、内心では驚きつつも、彼女の真意を聞く。
作戦を実行するとなれば、鉄騎兵を出してくれるだろうが、自分達も出ないといけない。
それに、本国の兵器を考えれば、鉄騎兵に前に出て貰って盾になって貰うのが必須と言える。
「……リディさん、鉄騎兵は補充出来るのですか?あの兵器を考えたら、鉄騎兵がいなければ戦うのは難しいです」
リーフの提案を引っ込めさせるのは、説得すれば出来るかもしれない、リーフに協力をしてあげたかった。
「フレンを助け出したい」子が親を想う気持ちを尊重して協力したいというより、
(アフレクションネクロマンサーか……)
彼女を、アフレクションネクロマンサーとして認めているから……アフレクションネクロマンサーの願いなら、危険を承知で聞きたいと思っていて、
「安心して、前進するというのなら、近辺の鉄騎兵をこちらに向かわせるわ」
「そうですか……それでしたら、質問を変えないとですね。リーフ、この状況で前進しないといけない理由はなんなんだい」
その気持ちは、リディも一緒のようであった。
後は、リーフの前進したいという気持ちが、どのようなものかというのが問題なのだが、
「世界がおかしいんです」
「世界がおかしい?」
それはリディが話をした事に、さらに付け加える話で、命の循環が止まり、赤いモノが溢れ返っていて、このままでは世界が終わるという話と、
「あの時、本国の人達は赤い液体に興味を示しませんでした……ニードゥスは欲しいと言ったのに……それはニードゥスですら知らない、何かがあるのかもしれません」
「なるほどな……」
リーフの言う通り、あの時、赤い液体を目の前にして、本国の者は興味を示さなかった。




