世界10
レインは、別に秘密にするような事では無いという態度を取るのだが、
「ドラゴンの秘宝は、リザードマンにとって秘宝中の秘宝。ちょっと話がずれてしまうけど、私達の体の中にはドラゴンの血が眠っていて、ドラゴンの秘宝を使えば、私達の体の中に眠るドラゴンの血は目覚めさせる事が出来るわ」
「ドラゴンの血……?それは、彼の様になれるという事ですか?それなら何故、ドラゴンにならないのですか」
長い間、リザードマンとは戦って来たが、そんなのは初耳であった。
ドラゴンである彼の力を知れば、ドラゴンがいるだけで、戦争等あっという間にリザードマン側の勝利で終わらせられるはずなのに、ドラゴンを戦場で一度も見た事が無い。
「ドラゴンの力はとても強大なの。ドラゴンの秘宝を使えば、私達の中に眠るドラゴンの血が膨張して……ドラゴンになれない者は、そのまま死ぬわ」
「だから、あの大きな体が必要なのですね……今日見たドラゴンもどきは、アフレクションネクロマンサーの力を利用してるんですか?」
「そうよ。ドラゴンの血を目覚めさせるには、それに見合った器が必要だった。そこで、オーク達を創り出した技術を使って、同胞を使って肉体を生み出したの……でも、所詮は付け焼刃ね。出来たのは巨大なドラゴンもどき……」
今日見たリザードマン側にいたドラゴンもどき、確かにドラゴンと比べれば見劣りする存在ではあるが、それでも、あれに襲われては無事では済まない。
「まぁ、それだけドラゴンの秘宝が凄い物だと思って貰えれば。それで、赤い液体を創り出すのに、ドラゴンの秘宝を使っていて、そんな強力な物をエルフに持っていかれないように回収するのが私達の第一目標だったの」
「ちなみに何ですが、赤い液体を創るには、ドラゴンの秘宝が必要なんですか?」
「それは……違うわ。赤い液体を創る方法は沢山あるわ。ドラゴンの秘宝を使ったのは、その一つに過ぎないの。話を進めても?」
「はい、お願い致します」
リディは、少しだけ言い淀んだ。
それは、リミィの手が赤いモノで染め上がっていたのを思い出してしまったから。




