世界8
綺麗に、垂直に、天に足を延ばすレイン。
ほんの少しもブレない事に、レインの体幹がどれだけ素晴らしいのか分かるが、その綺麗に伸ばした足を揺らすと、次の瞬間には、一つ目の化け物を包むように、体を猫のように丸めて、
『バッギンッッドンッッ!!!!』
一つ目の化け物の首で一回転して、地面に叩き付ける。
「うぉっ!!!?」
巨大なドラゴンと巨人の戦いをその場で、まじかで見ているレンスの足元が揺れ、空気が揺れる。
巨大と巨人の戦いだが、その優位性は一目瞭然、同じような体格をしていても練度が違い過ぎる。
残りはまだいるが、それでも、レンスが勝つと思える程に、勝機が傾いているというのに、
「てっぇやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そこにリーフが混ざる。
『ヒュッ!!ヒュッヒュッン!!』
「「ぐぅぅぅうぅぅぅぅうぅ!!!!!!」」
リーフの戦い方は、舞う蝶そのもの。
通り抜け様に一つ目の巨人達を切り付け、蝶の羽から鱗粉が舞うと、一つ目の巨人が苦しさにむせる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
身動きが鈍った所に、翡翠の炎を纏った大剣を目に突き刺すと、口の中が翡翠の炎で焼かれて、そのまま倒れてしまう。
(レンス!!!!)
「ギラ」
これで、雌雄は決した。
ただでさえ、レインとリーフによって、勝利が手繰り寄せられているのに、ギークギラが増援の鉄騎兵まで連れて来てくれた。
「ギラ、増援を連れて来て貰って申し訳無いけど、戦いは終わるよ」
(……そうか。足を止めてよし)
レンスの言葉に反応して、ギークギラも戦況を見極めようとしたが、一方的な戦いがそこにあって、見極める必要性は無かった。
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「みんな、無事で良かったわ」
一つ目の巨人達を掃討したレイン達を温かく迎えるのはリディ。
大広間には食事が用意されて、急遽な戦いに出向いた事への感謝が示されている。
「無事に帰れたのは、リーフのお陰です。彼女が来てくれなかったら、自分は今頃、死んでいました」
「そうね……ありがとうリーフ、あなたの活躍は城壁から見ていました。さすが、アフレクションネクロマンサーですね」
「いえ…………みんなが無事で良かったです」
アフレクションネクロマンサーと褒め称えられた事よりも、散々自分達を苦しめて、いつかやり返してやると思っていた相手を「みんな」と呼べている自分に、戸惑いを少し覚える。




