世界2
「リーフ?どうしたの?」
それは生きた人の声では無い、自分に語り掛けて来るその声は、
(アフレクションネクロマンサー様から、最期の務めを頂きました)
ドラゴンもどきの時に、死んでしまった者達の霊。
赤いモノが礼人の下に集まっていた時に、飲み込まれてしまった者達の魂が、リーフの所まで追って来たのだ。
赤い空から、淡く光る蝶達が舞い降りる。
ひらひらと、粉雪のように舞い降りる蝶達は、次々とリーフの元へと寄ると、
(姫、ネックレスを)
礼人が最後に残した、ネックレスを出すように促す。
「ネックレス?」
霊力が未熟な自分の為に、礼人が用意してくれたネックレス。
周囲からの悪霊からリーフを護るが、それと同時にリーフの霊力を抑え込んでしまう程に、強力な代物で……
(アフレクションネクロマンサー様からの最後の願いです。姫を守る為の力が、姫を苦しめる結果になってしまったと……姫に必要なのは、戦う為の力だと)
ネックレスに蝶が止まる度、蝶はネックレスに溶けて、水晶が淡い光を蓄えられて、
(姫……いえ、我らのアフレクションネクロマンサー様、我々は常に、あなた様の側にいます)
最後の蝶がネックレスに溶け込むと、ネックレスから膨大な力が溢れ出す。
「それは…何のなの?」
それが、赤いモノの類というのは分かるが、その清らかで、温かみを感じる光は、赤いモノの不快感を覚えるモノとは全然違って……
「リディさん」
「リーフ?」
ペンダントを握り締めたリーフは、一つ目の化け物を睨み付ける。
「私達は、ここから引いてはいけないんです……本国が機銃車を用意して、あの一つ目の化け物を送りつけて来たのは、私達を始末したいからでは無く、時間稼ぎをしたいからでは無いのでしょうか」
「……何か、根拠があって?」
リーフは、ペンダントに自分の霊力、マナを注ぎ込むと体中に力が溢れ出し、背中から翼が生えるのだが、その翼は白金の翼では無く、
「根拠はありま……あります」
「それはどんな?」
「それは、私がアフレクションネクロマンサーだからです」
翡翠の翼を広げ、一羽ばたきして宙に浮いて、
「レインさんと、レンスさんを助けて来ます」
「リーフ!!!!!!」
そのまま城壁から飛び出すと、二人の元へと飛んで行ってしまう。




