世界
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アフレクションネクロマンサー化したレインが地上に倒れて、森の中から、吹き飛ばされた鉄騎兵が宙を舞う。
「撤退するだけの最低限の鉄騎兵を残して、後は全て出します。!ギラは、レインとレンスを回収して」
(すぐに!!!!)
リディは自分達の不利な状況に目を細めて、
(こういう時は、本当に有利ね)
この不利な状況に置いても、慌てふためく事は無い。
この状況、レインが戦えなくなり、鉄騎兵も次々と吹き飛ばされるが、前線で戦っている中で命があるのは、レインとレンスだけ。
二人を回収出来たなら鉄騎兵に殿をさせて、ここから立ち去ってしまえば良いから、余計な事を考えないで済む。
「リディさん」
「大丈夫よ。こちらの態勢が整っていない時に襲われたから撤退するだけで、拠点はまだあるわ」
それは決して強がりでは無い。
今回は、予想がいな、一つ目の化け物がこちらに攻めて来たから、下がらないといけない状況になっただけで、最初から進軍する予定があるから、前線の拠点で休息を取り、あの一つ目の化け物が攻めて来ているのが分かっていたのなら、鉄騎兵を囮にして、もっと奥の拠点で休息を取っていた。
(……でも)
リーフは、リディが強がりで言っている訳では無い事は、彼女の表情や、立ち振る舞いから理解出来るのだが、
(この感覚は何なの……?)
自分の中の、何かが訴えている。
ここで下がるという事が、後々取り返しの付かなくなる失態を産むと……選択を迫られていると、感覚が叫ぶ。
(でも、どうしたら……)
麗騎兵が視せてくれた、アフレクションネクロマンサーである栄華は凄かった。
今際の時にも関わらず、一つ目の巨人を一撃のもとに屠っていた。
あの力と同等の力を自分は持っていない……アフレクションネクロマンサーの中で、最も力が無いのは自分だと分かっているけど、
(でも……何とかしないと)
体の中で感じる悪寒を拭うには、非力な自分でも何とかしないと……
(姫……)
「えっ……?」
声が届いた。




