夢の中13
皆、大人なのだ。
本当は言いたいことも聞きたいこともあるが、それをしては士気が下がるだけ、自分を騙すように皆は意気揚々に話し合いが始まる。
まるで、祭りの前の熱気にあてられたかのような雰囲気に、
「怖い……」
礼人は素直な気持ちを小さく呟いてしまう。
周りの雰囲気は士気が高まって見えるがそれはまるで、今にも消えそうなろうそくが最後の光を強く輝かせるような、餌を見つけたアリが一心不乱に群がるような、邪悪な妖気に皆があてられて錯乱してしまったかのように見えてしまう。
それは戦いの輪の中に入れない礼人だからこそ見えてしまう光景、こんなことは言いたくないが死に急いでるようにしか見えない。
このままではいけないような気がして、礼人は皆に今の状況を伝えようとしたが、
「余計なマネをしないで下さいね」
アニーが礼人に小声で警告する。
「良いですか礼人、彼らだって心の底では不安と疑心で一杯なんです。だけど私達が逃げれば一般人達が死ぬ……我々は怖いからと言って、すぐに逃げることが出来ない時もあるんです」
「それは知ってますが……」
「……あなたには本当のことを言っておきます。これから相手をするのは神話に出てくるよな化け物ではありませんが、それでも村や町を駆逐するような、物語を盛り上げる化け物位の実力はあるでしょう」
「だったら……」
「他からの助けは間に合わない……けれど我々はイの一番に逃げる訳には行きません。ほんの少しでも生き延びる可能性があるのならそれにすがる。例えそれが周りから滑稽に見えて、気が触れてしまったかのようでも」
「…………」
「病は気からと言いますが、戦う前から怯えていると死にますよ?」
「……はい」
どうしても恐怖をぬぐえない礼人、そんな礼人をアニーは微笑みながら頭を優しく撫でて、
「安心して良いんですよ?誰かが死ななければならなくなった時はアナタではなく、我々の誰かなのですから。アナタは大船に乗って見ていなさい」




