異世界のアフレクションネクロマンサー744
レインが本気を出して吐く炎は、炎に耐性のあるリザードマンですら悲鳴を上げて逃げ惑う。
マナを蓄える事が出来る鱗が爆ぜて、肉体が一瞬で焼ける苦しみに、リザードマンが泣き叫ぶ。
レインが言うには、リザードマンは、ドラゴンが生活というのを基準にして進化した姿と言っていたが、リザードマン達が襲って来た時に、レインが初めてドラゴン化して、リザードマンを焼き殺した時は、自分達リザードマンは、ドラゴンの退化した姿だと思えるほどに、格の違いを見せ付けられてしまった。
何が言いたいのかというと、リザードマンですら耐えられない炎を、あの一つ目の化け物が耐えられるかどうか。
地獄の業火とも言える炎を浴びて戦えるというのなら、エルフの本国は、リザードマンが創り出したドラゴンもどきより、優秀な生物兵器を創り出した事になるのだが、
「「「ぐぅぉぉぉおぉおぉぉぉおぉ!!!!!!!!」」」
(リディ様!!)
「えぇ、どうやらあの一つ目の化け物では、本物には勝てないようね」
レインが吐き出す炎に包まれた一つ目の化け物は、苦しみの叫び声を上げて、森の中で悶える。
リディが本物といった意味。
確かに、巨大な体から振るわれる暴力は脅威だが、レインの力はそんな物では無い、決して物差しで測れるものでは無い。
普通にやり合えば、脅威であったであろう一つ目の化け物も、人智を越えた力を持つ者を前にしては、赤子のように鳴き叫ぶ事しか出来無い。
「それでも、勝つまでは見届けないと」
(そうですね)
勝ったも同然という状況ではあるが、何が起きるか分からないのが戦い。
レインは、巨大なドラゴンもどきと、妖怪化したアフレクションネクロマンサーとやり合っている。
レインが途中で息切れをしても、レンスが一緒に出てくれているから、万が一の事が起きても、何とかしてくれるとは思うが、様子を見守りたい。
何事も無く、無事にレインが勝つ事を祈っていると、
「リディさん!!」
「ごめんなさいね、部屋を飛び出して。でも、これが私の立場なの」
何が起きているのか心配になったのだろう、リーフが追い掛けて来ていた。




