異世界のアフレクションネクロマンサー742
赤いモノと同化出来るようになった弊害。
自分の中を常に何かが這い回っているような感覚が、礼人の第七感を狂わせて、自分を保つ事に気を回さないといけない状態にさせていて、それさえなければ、礼人もこの世界が循環していない事に気付いて、リーフに話をしていた。
「だとしたら、二人は結託していた訳では無く。アニーは、もう一人のアフレクションネクロマンサーの為に、あえて黙っていた可能性が高いわね」
「アニーさんは、礼人の為に秘密にしていた……それは礼人にとって都合の良い理由があるから」
「それか、その子にとって不都合な事があったから……かしら」
リーフとリディの二人は、お互いに首を横に振って、お手上げだというのをアピールする。
あまりにも、手掛かりが少ない。
分かっている事は、この世界の循環がおかしい事と、それを知っていたはずのアニーが黙っていた事で、黙っていた理由も、多分、礼人と関係しているという事くらいだけ。
リディの、ユラユラと揺らしていた尻尾が動きを止まると、椅子から立ち上がり、
「ごめんなさいね。力になれなくて」
「いえ、こちらこそいきなりで、すみません」
答えられない質問に背を向けてしまう。
リディも、この問題には気になる所があるが、それでも、この問題だけに取り組む訳にはいかない。
明日の朝には、レインの体力が回復する、それに合わせて進行しようというのだから、時間的な余裕はあまり無く、そのあまり無い時間の中で、リーフに会いに来ている。
「何か分かったら、あなたに伝えるわ」
「お願いします」
ここまで話を聞いておいて、少し無責任な気もしたが、それでも気には留めるという事で、場を濁して……
『うぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!』
「なに!?」
「レイン!?」
突如、外からレインの雄叫びが響く。
それは、決して寝ぼけて出す、気の抜けた声では無い、明らかな戦う意思を感じさせる雄叫び。




