異世界のアフレクションネクロマンサー741
振り子のように、ユラユラと揺れるリディの尻尾、それは彼女が思案している時の癖。
突然投げられた疑問だが、リディはその疑問を面倒だと、あしらったりしない。
リディは今一度、アニーの行動を思い出し、何か怪しい行動をしていなかったかと思い返すが、
「……無いわ。彼は完璧だった」
「完璧だったんですか?」
「えぇ……」
常に前を向き、常に未来を見据え、今にも掻き消えてしまいそうな状態だったのに、それでも自分達の為に苦心をしてくれていた……が、
「でも、それがボロだったのかもしれないわね」
あそこまで、完璧に弱みを見せなかったのは意図しての事なのだろう。
聖人のような完璧な振る舞い、正義の使者のような思想……しかし、今更ながら考えてもみれば、彼は完璧過ぎた。
どんな時も正しい道を示そうとし、みんなの為に自分を押し殺し……
「……あったわ。彼が、一度だけ感情を表に出したのが」
「それは、どんな時だったんですか?」
どんな時も聖人君子として、完璧な振る舞いをしていた彼が、唯一見せた失態は、
「今日よ。今日、アフレクションネクロマンサーがこっちに来ているのを感じた彼は、私達の下から去っていたの」
「それは師匠だったからでは?久しぶりに……魂が尽きるその前に、弟子に会いたかったからでは?」
「確かに、そう考える事も出来るけど、彼が、私達にアフレクションネクロマンサーとして連れて来るべき人物として紹介した時には、そんな雰囲気は無かった……逆に聞きたいのだけど。そっちのアフレクションネクロマンサーは、何か言っていなかったの?この世界に付いて」
「変だというのは本国や、私達の文明レベルの差とかに付いては言ってましたが……礼人は、巨大な化け物に取り込まれて、そういうのが、上手く感じ取れなくなってしまっていたのかもしれません」
それは、リーフの予想取りであった。
礼人は一度死に、エアリアに取り込まれたあの時点で、霊能者では無くなり、半妖怪化してしまった事で、礼人は世界の異変を感じ取れ無くなってしまっていた。




