異世界のアフレクションネクロマンサー740
アニーが自分達に対して、教えてくれた事と言えば、鉄騎兵に使われている赤いモノの改良、リミィとレインに対して、霊力というのがどういうものかという教え、本国にある兵器に付いての脅威に付いてで、
「そうね……アニーがこの世界に付いて、話したというのは無かったかしら」
この世界そのものに付いて、何かを言っていた覚えは無かった。
「そうですか…でも、そのアニーさんという方が、一番霊力が強かったのですよね?」
「それは間違い無いわ。彼のお陰でリーフは自我を保ったまま幽霊になる事が出来て、レインはアフレクションネクロマンサーになれた……彼は否定していたけど、彼もまたアフレクションネクロマンサーだったと思うわ……これで、二人のアフレクションネクロマンサーを手元から失ったけど、レインとあなたで、二人のアフレクションネクロマンサーが、私達の所に居てくれるのは嬉しい話ね」
アフレクションネクロマンサーの定義という物が、狂わせるものだというのなら、リミィとレインに力を与えたのは、運命を変えたと言える。
「アニーさんも、アフレクションネクロマンサー……だとしたら、アニーさんは気付いていたんだと思います」
「何に気付いて?」
「赤いモノの流れが、変だという事です」
「それは、どういう意味かしら?」
リーフは、手の平でベッドを擦るのだが、その動きは、単純にベッドを擦っているのではなく、何かもっと深い所を触っている。
「人の魂は循環する。大地に空に吸われ、水に溶け込み、魂は欠片となって新たな命の糧になる。それを礼人は教えてくれました。けれど、この世界には、それを感じられないんです」
「それって、魂の循環が出来ていないという事かしら?多くの者達を殺し過ぎて、溢れているというのとは違うの?」
「はい、根本が違います。赤いモノが溢れて、世界の許容出来る能力を超えていたとしても、何かしらの浄化しようとする動きがあると思うんです。でも、この世界は動いていないんです。浄化しようとしていないんです」
「……あなたの霊能者としての力は、最近目覚めたのよね」
「はい」
「だとしたら、彼が気付いていないというのは変な話ね」
リディの尻尾が、ユラユラと揺れる。




