異世界のアフレクションネクロマンサー738
互いに向き合う形に座り合い、
「あなたには先に話すけど、まだ誰にも話さないで欲しい事なの」
「そんな大事な事を、新参者の私に話しても良いのですか?」
「あなたはアフレクションネクロマンサーでしょ。これから話す事は、知っておいて欲しいの」
「……分かりました」
真剣な面持ちなリディに対して、リーフも聞く姿勢を作る為に、お尻をもじもじさせて姿勢を正す。
互いに話す態勢と、聞く姿勢を整えて、
「話したい事は、リミィに付いてで……」
「待って下さい!!」
「……!?なにかしら?何か気に障った?」
これから話をしようとした所に、いきなり大きな声を出されて、さすがのリディも驚いてしまう。
「あっ…ごめんなさい……でも、この話の順番は大事な事だと思ったので」
「そうなの?じゃあ先に話を聞かせて貰えるかしら」
リディは、話の腰を折られたにも関わらず、ヘソを曲げる事無く、少し身を前に傾けて、態度でリーフの話を聞きたいと示すが、
「礼人から…アフレクションネクロマンサーから聞いています。リミィ様はもう、亡くなられている事を」
「……!!!!」
リミィが亡くなっている事を、カウンターのように突き付けられて、リディは思わず仰け反ってしまう。
「あの…ごめんなさい。そんなに驚かれると思っていなくて……」
「いえ…良いの。私も、その事をあなたに伝えようと思っていたのだけど、先に言われて驚いてしまったわ」
細い舌をちょろっと出して、茶目っ気を見せるが、動揺した事を誤魔化すには少々弱かった。
「でも、その事を知っていて、あなた達は黙っていたのね」
「はい、アフレクションネクロマンサーから言われたのです。この世界に来たのはリミィ様に導かれたからと、そして、リミィ様の死を伝えれば、それが悪い方向に進むかもしれないと、黙っていようと約束しました」
「それは英断よ。今でも、リミィを崇拝している者達はいるし、リミィを恐れている者達もいる。リミィという名前がある限り、本国は手を焼き続ける事になるわ。でも、もしも本国がその事を知ったら、リミィが亡くなった事を広めて、兵を総動員させて、攻め立てて来たでしょうね」
リディは、そこで軽く溜息を吐く。
自分の与り知らずとはいえ、もしかしたら、一番バレてはいけないリミィの死が、漏洩していたのかと思って、肝を冷やしてしまったから。




