異世界のアフレクションネクロマンサー736
この場で殺し合う事が、愚かしい事だというのは二人も分かっている。
アルフアが一歩下がって距離を空けると、リーフも上げた手をゆっくりと横に降ろす。
緊迫した状況から、ピリピリとした状況へと移り変わり、もう一度だけ話し合える状態になるが、
「私の予想では、街にいた人が無事だという可能性は低いと思います」
「だから、やり返す!!!!例え無駄に命を散らす事になろうとも!!!!」
アルフアの怒りが収まった訳では無い、少しでも、話が納得出来る物でなければ、怒りを覚えている者達を連れて行ってしまう。
「気持ちは分かります。でも、まだ分からないじゃないですか」
「何が分からない!!!?」
「街のみんなが殺されたのか、それとも、捕まっているだけなのか」
「なに!?」
リーフは、ここで口から息を吸って、深呼吸をすると自分の気持ちも落ち着かせて、アルフアを見据える。
「もし、街にいる人が皆殺しにされたと確定しているのなら止めはしません。だけど、街にいた人がまだ無事だった場合、あなたの行為は、みんなを危険に晒します」
「だが、一週間も経っている!!その可能性は低いはずだ!!」
アルフアの、目が震えるほどの怒りが和らぎ、怒気を含んでいた声のトーンも少し落ち着く。
「分かっています。でも、生きている可能性もあるのです。もしかしたら、何とか逃げ出した者達もいるかもしれません」
「ならば、すぐにでも助けに!!」
「そうです。だから玉砕覚悟の突撃をしないで下さい。生きている者達を救うのに、人数は必要なのです」
「…………」
ここまで来ると、アルフアの燃えていた怒りが、仲間を救う為という気持ちにベクトルが変わる。
もう、一触即発の状況にならない事を感じてリーフは、リディの方を向き、
「リディさん、お伺いしたいのですが、皆さんはこれからどうなさるつもりなのですか。私は、その動きに合わせたいのですが」
リディ達に合わせて、動きたい旨を伝える。
この時点で、リーフの考えに誰も反論を述べる者はおらず、リディの軍門に下った事になり、
「まず、私達は後方の拠点まで下がるわ。そこで、レインの疲労が取れてから、再び前線を押し上げて、相手の拠点を叩くわ」
「その作戦に、私達が同行するのは良くないですよね」
「そうね。あなた達が、私達と一緒にいる所を見られたら、相手に反旗を翻した事がバレて、連れて行かれた者達が処刑されかねない。ここは私達に任せて、後方で休息を取って貰うわ」
仲間となれば、リーフ達を温かく迎え入れるのであった。




