異世界のアフレクションネクロマンサー735
「本気なのか?ここで我々が裏切れば、他の者達が殺される」
本国に逆らえば、アルフアが心配するように、街に残されている家族は皆殺しにされてしまうが、
「……それは違います。彼等の目的も、エルフだけを生かす事です。私達が裏切ったか、どうかではありません」
「うっ…確かにそうだが」
「ならば、無暗に突っ込むのではなく、私達は死んだフリをして…………」
「……リーフさん?」
そこで、リーフの言葉が止まった。
「リディさん……」
「あなたの考えている事は、可能性として十分にある。伝えるべきかは、あなた次第よ」
「……はい、その時には鉄騎兵をお借り出来ますか?」
「良いわ。あなたにそれだけの覚悟があるのなら、使いなさい」
リーフはここで、自分達の置かれている状況に気付いてしまった。
父たちを連れ去られてしまった?エルフだけが生き残れる世界?それらも、自分達を追い詰める事ではあるが、
「みんな、覚悟を決めて聞いて」
「なんだい?」
「私達は、ここに来てから一週間は経ちます……その間、街はもぬけの殻ですね」
「よっ…よくも!!!!よくもやってくれたな!!!!」
「アルフア様!!!!」
「仇討ちだ!!!!付いて来る者は私と共に来い!!!!」
もっとも、彼等を追い詰める事は、街を空けてしまった事。
街に残されているのは非戦闘員のみ。
女性のエルフには助かる理由があるが、ドワーフにサキュバスには殺される理由がある。
そこで、一週間という時はあまりにも致命的で……
「今、仇討ちに参加するという方は殺します」
「何を言っている!!!!ふざけるな!!!!」
「ふざけていません」
『ザッ!!!!』
自分達の仇討ちを止めようとするリーフに、アルフアが詰め寄り、それに対してリーフが手を上げると、鉄騎兵達が一歩前に進む。
一触即発の状態。
アルフアがリーフの胸倉を掴めば、リーフが手を降ろせば、それだけで殺し合いが始まる。
この一瞬で、一緒にいた仲間と矛を向け合う形になってしまうが、
「リーフ、話を聞かせておくれ。街にはワシの妻も、友達も残っておる。街にいたみんなが、あの者達に殺されたというのなら、復讐したというのは当たり前のことだ」
ビレーが、横から仲裁に入る。




