異世界のアフレクションネクロマンサー734
「100人だけが乗れる船があったとして、その船の定数まで乗る。でも、それってギリギリ。そこから一人、二人増えれば、少しでも舵を切り間違えれば沈む。だから、余裕を持つ為に生き残らされる人数を制限する」
「……そうすれば、自ずと自分達の息が掛かった、血筋だけが残り……世界を創り変える事が出来る」
それは、世界が滅ぶ事を利用した、新たな世界の創造。
「もちろん、まだ派閥争いは続いている。どんな主義主張が通るかは分からないわ。でも、その派閥が主力となれば、多くのエルフも死ぬ」
今日日、機銃車が狙ったのはオークであったが、これがエルフのみんなにも降り注ぐ。
今でも多くの者が殺されているが、今以上に人が死ぬ。
「これで私が出来る、この世界が抱えている問題を話したわ。リザードマンの方も似たり寄ったりだから割愛するけど、これから、選択するのはあなたよ」
「選択……」
「そうよ、あなたが取れる選択は三つかしら。一つ目はこのまま自分達の街へと帰り、本国に尻尾を振って、流れに身を任せる。二つ目は私達の仲間になり、共に行く。そして、三つ目は自分達で新たな道を切り開く」
「それは違います」
「違う?」
リーフは、礼人が眠る大樹の方を向いて頷き、
「あなた達の仲間になる……それしか選択肢は無い」
「そうね、それしか選択肢は無いわね」
リディもまた、リーフの選択に頷く。
「選択の選択……でも、私達がこれから第四勢力として活動していくには、あまりにも遅過ぎた」
「選択の選択でギリギリ間に合ったのはリミィだったの。拠点を構えて、戦力を整えて、自分達の意思を貫き通す為の時間を準備出来たのが」
「私達はずっと本国を信じて、本国に踊らされて……貴重な時間を全て奪われてしまった」
「物語は、ずっとずっと昔から始まっていたわ。リミィが物語の最初から叩き続けた主人公なら、私は中盤から現れた仲間。そしてあなたは」
「物語の終盤に現れた者」
そう、リーフ達が真実に気付き、戦うというにはあまりにも遅かった。




