異世界のアフレクションネクロマンサー733
(これで、指揮を執る者が変わったな)
先程までの彼等の旗印はフレンであった。
しかし、フレンの娘であり、アフレクションネクロマンサーであるリーフが声を上げれば、
「良いですね、アルフアさん」
「……分かりました。私は副指揮官としてアナタの側に付きます」
これ程、フレンの後釜に相応しい人物は存在しない。
「申し訳ございませんでした。少々場が乱れてしまいましたが、話の続きをお願い出来無いでしょうか」
「……えぇ、あなた達の心中は察するわ。でも、私の話を最後まで聞いて欲しいの。それから、あなた達がフレンという方を取り戻す為に行くというのなら、止めないわ」
沸騰したお湯のようにざわめいていた場が、波一つ立っていない、静かな湖畔の様に騒ぎが治めた事に、リディは内心で感心する。
まだ若い少女で、右も左も分からず、これから酸いも甘いも味わって大人になるのだろうと思っていたが、こうして自分を中心にして纏める事が出来るのは、求心力があるのかもしれない。
「それじゃあ、主義主張、派閥の違いはあれど。オーク、ドワーフ、サキュバスを生かそうという派閥はリミィと僅かな支持者しかいなかったの。だからリミィは本国から飛び出し、自分と同じ志を持つ事を出来る者を探し、そこで私に対して白羽の矢を立てたの……まぁ、そこは置いといて、派閥の中で一つ危険な思想があるの」
「それはどんな?」
「優秀な者達だけを、生き残らせるという思想よ」
「それは才能主義、貴族主義と違うのですね」
「違うわ。この世界が残り100人しか生きられないとして、その枠をどうすかるという争いが起きている。でもね、その危険な派閥の考え方が、10人だけで、その枠を使おうという考え方をしているの」
「10人だけ……?それは100人が生きられる枠を10人でせしめようというのですか?」
「そうよ」
リーフは、危険な派閥の存在を聞かされると、眉間にシワが寄る。




