異世界のアフレクションネクロマンサー731
「同じ穴のムジナの言われたら、そこまでだけど。戦争を利用するのって凄い便利なの。戦うべき相手がいて、守るべきがいるのを利用すれば、どれだけの死人が出ても、怒りは全部向こうにいく。どれだけ死人が出ても、納得する事が出来てしまう」
リディの言う通り、思い当たる事は沢山ある。
殿を務めさせられて来た事はもちろん、礼人と出会った、死に掛けたあの日ですら、本国を恨む事は無かった。
戦いの果てに、自分達が力尽きるのは仕方無いのだと……守るべきもの達の為に戦い抜いたと、諦めでは無いが、半ば受け入れている自分がいた。
「それはまた、別の話として、本国には少しややこしい考え方があるわ」
「それは…どんな事ですか……?」
腸が煮えくり返り思いだが、まだ、聞かないといけない事はある。
「これは、私達の所でも同じ問題を抱えているのだけど、身分主義、血統主義、才能主義と、派閥があるの」
「派閥?それは、どういうことですか?」
「えぇ、あなたニードゥスって知っているかしら?」
「ニードゥス様?それは、私達の直属の方ですから……」
「それは、話が早くて助かるわ。ニードゥスは、元々リミィの上司だったの」
「そうなのですか」
「それで、リミィから聞かされていたのが、ニードゥスは才能主義だったと」
「才能主義?」
「街にいるようなエルフでも、才能があるのなら、処刑をせずに生き残らせるべきという考えよ」
それは……確かにそういう人ではあった。
街の出身である自分達は、本国のエルフからあまり良い顔をされないが、ニードゥス様は良くしてくれた。
父の事を偉く気に入って、普通では考えられないような待遇や、本来なら、今回は将軍として起用してくれたのも……
「しまった!!!?フレン!!!!フレンが連れ去られた!!!!」
「お父様が!?」
ニードゥスの話を聞いた途端に、アルフアが血相を変えて、大声を上げて、
「今なら間に合う!!!!すぐにでも追い掛ければ!!!!申し訳無いが、我々は反転させて貰う!!!!」
兵士達を連れて、自分達の事を見捨てた本国の者達を追い掛けようとするのだが、
「止めた方が良いわ。あなた達の戦力で、あの兵器には勝てないのは十分に分かっているはずよ」
血相を変えているアルフアに対して、リディは顔色一つ変えない。




