異世界のアフレクションネクロマンサー729
「私の命令で動く鉄騎兵。だけど、重要なのは、一度命令すれば、その身が動かなくなるまで動き続ける。麗騎兵から、この世の赤いモノを消費するのに、改良されて生み出されたのが鉄騎兵の正体」
一糸乱れずに姿勢を正した鉄騎兵達、そこには意思という物が見えないが、
「その身が動けなくなるまで?鉄騎兵は無尽蔵に、痛みも恐怖も感じる事無く、戦い続けるじゃないんですか?」
「違うわ。鉄騎兵は赤いモノを消費して動いているの。戦い続ければ鉄騎兵の赤いモノは、次第に薄れて動けなくなるわ」
それこそが正解なのだ。
「そうなのですか……マナの消費を抑えるために人減らしをして、溢れた人の魂は鉄騎兵を動かす事で、消費する……そうする事で、世界を救おうというのですね」
リミィ様がしていたのは、気が狂っての無差別な殺人行為では無く、意味があった。
それが、許される行為であるのかは分からないが、それでも理由はあった。
「そうよ。それが共通の認識よ」
「共通の認識?」
「ここで言わないといけないわね。この世界が抱えている問題は、話し終えたわ。じゃあ、この世界をどうしていくかよ」
「どうしていくか?」
今までの話は、世界が滅びそうになっている事、その原因が何だったのか、そして、その対策をどうすれば良いのかという話をしただけ。
「この世界には三つの勢力がある。エルフの国、リザードマンの国、私達の反乱国。この世界が滅ぶというのに、私達が協力出来ない理由は分かるかしら?」
「三つの国が抱えている共通の問題…それでも、争うのは……主義主張が違う……いや、そもそも、エルフとリザードマンは争っているのだから……」
リーフの中で、情報が整理されていく。
ここまで与えられて来た情報、それと、自分が知っている情勢。
リディは共通の問題と言った……その言い回し方からすれば、この問題は三つの国が認識している事になる。
エルフの国は、リザードマンを皆殺しにして、自分が生きられるようにしたくて、リザードマンの国は逆に、エルフを滅ぼして自分達が生きたいはず……リミィ様がエルフの国から反乱して、目の前にいるリディがリザードマンの国から離反したのは、
「リミィ様は、みんなが生きられる世界を創ろうとしたのですね」
どちらかが完全に消え去るのではなく、互いの種を残すというのが、リミィ様の主義主張だったのだろう。




