異世界のアフレクションネクロマンサー725
サキュバスもまた、リザードマンと戦う為に創り出された生物……なのだが、それを伏せたのは、リーフの不信感を、これ以上買いたくなかったからだ。
もちろん、オークにドワーフ、サキュバスを生物兵器として生み出したのはアフレクションネクロマンサーであるが、その真相を話しているのはリディ。
真相を伝えるというのは損な役割で、まるで吊り橋効果のように、真相を話しているリディに不死感が募ってしまう。
とばっちりなのだが、それはアフレクションネクロマンサーがした事で、自分は無関係だと言っても、深層心理に刻まれた悪い印象は消せないからこそ、一度、好意を抱く様に会話を操作した。
「オーク、ドワーフ、サキュバス……その出生の秘密は分かりました。アフレクションネクロマンサーが召還したというのが、間違った認識だったのですね」
「そうです」
「だとしても、エルフまで殺す理由は何なのですか?それともエルフもアフレクションネクロマンサーと関りがあるのですか?」
会話を操作した甲斐あって、リーフはまだ話を聞く態勢のままでいてくれるのだが、
「リーフ、良いかしら」
「はい」
「これから話す事は、あなた達にとって、とても重要な話になるのと、必ず選択しないといけなくなる……聞きたくないと、耳を塞ぐ事も出来るけれど、それは絶対に後悔する事になるわ。覚悟を決めて聞きなさい。良いわね」
「はっ…はい……」
リディの表情が、また険しくなる。
これから聞かせる話は本題になる、それこそ、サキュバスの話を取り繕ったのは、これからの話の為と言っても過言では無い。
「この世界は、このままだと滅んでしまうの」
リディが険しい表情のまま、口を開いた言葉は、あまりにも納得し難い話であった。
話が飛躍しているというのか、根拠が無いというのか……そもそも、エルフを殺す話にどう繋がるのかという疑問が新たに胸に抱いてしまうが、
「さっきも言ったけど、この世界は元々は誰の世界だった?」
「この世界は…元々はエルフの世界かと」
「じゃあ今は、どうなってる」
「今は……あっ!!!?」
その時、リーフは気付いてしまった。
この世界がエルフだけでなく、リザードマン、オーク、ドワーフ、サキュバスと、多種多様な生命が繁殖してしまっている事に。




