異世界のアフレクションネクロマンサー723
礼人が何を気にしているのか、あの時に気付く事は出来なかった。
自分達にとって当たり前の事、オークとドワーフが、サキュバスと結婚して子供を授かって喜びに満たされる。
そこには間違い無く幸せがあり、それは決して偽りでは無かった……しかし、リディからの話を聞いては、サキュバスを創った理由は、兵隊を産む為の……
「何か勘違いしてないかしら?」
「えっ?」
リディが、顔にシワを作って険しい顔をしている。
それは決して考えてはいけない事だと、間違った答えを出した事を咎めるかのように。
「あなた、心の中でこう思ったでしょ。サキュバスが創られた理由は、兵隊を産む為だと」
「そんな事は!!!?」
心の中で想い浮かべた、口にするべきでは無い事を口にした、リディに動揺して大きな声を出して否定するが、
「気にしなくて良いわ。リミィから教えて貰うまでは、私もそう思ったから」
リディは、動揺を見せたリーフを落ち着かせる。
「私も、サキュバスを創ったのは、兵隊を産む為の存在だと思ったわ。でも考えて、アフレクションネクロマンサーは亡くなったエルフの肉体から、オークもドワーフも創り出せるの。言葉は悪いけど、それを考えたら、サキュバスを創り出して子供を産むのって凄く非効率じゃないかしら」
「そう言えば、そうですよね……」
「子供が言う事を聞かなくて大変」そんな事を漏らすサキュバスは大多数で、リーフ様も結婚したら、天手古舞になりますよと、笑っていたのを思い出す。
「でも、実際にサキュバスはいる……その理由は単純な事よ」
「単純な事?」
「そう、護る者があって、護る者と共に未来を歩みたい……愛する人の側にいて、子供の成長を見守る。そういうのって、馬鹿にならない力を生み出すものよ」
「そうなのですか……じゃあ、アフレクションネクロマンサーはその為に……」
「そんな捻くれた考え方をしなくても良いんじゃないかしら。アフレクションネクロマンサーは、戦う為のオーク、道具として生み出したドワーフにも幸せになって欲しい。そう願ったんじゃないかしら?」
「幸せになって欲しい?」
「えぇ、その証拠もあるわ」
リディは、側にいるレンスの羽に視線を向けるのであった。




