異世界のアフレクションネクロマンサー720
それは畏れ多い話。
生まれたその時から、エルフに使える身分である者達。
いつから自分達が、エルフに使える身になったのか分からない程に昔から……
「あっ……」
リーフの背中に、冷たい汗が一筋流れて声が漏れた。
ビレーに昔聞いた質問、何で自分達エルフを護ってくれるのかと聞いた時に、それが昔からの代々受け継がれて来た使命であり、誇りだと言っていたが……
「アフレクションネクロマンサーの逸話を知ってわよね」
「耳を削ぎ落した方ですか……それとも、鉄騎兵という体を与えた方ですか?」
「大事なのは後者の方だけど、前者も関係するわ。あなたの知っている範囲で良いから、鉄騎兵の話をしてみて」
リディは、リーフが何かを感じ取っている事に気付き、導く為の言葉を与える。
「……無念の内に死んだ者達の声を聞き、もう一度大切な人達を守る為に鋼鉄の体を与え、それを麗騎兵と呼んだ」
「それは少し違うわ」
「少し違う?何が違うのですか?」
麗騎兵の話は昔からある物であり、祭りの時に引っ張り出すように、麗騎兵は実在する。
さすがに、実物のある麗騎兵を間違っているというのは、おかしな話だと思ったが、
「真実は「鋼鉄の肉体」を与えたのでは無く「肉体」を与えたよ」
「肉体を与えた…………それって!?」
麗騎兵の話そのものが違うというのなら、
「アフレクションネクロマンサーがしたのは、死んだエルフ達の肉体を集めて、新たな体を……オークを最初に創り出したの」
「そんな事が!!!‼」
オーク達が、死んだエルフ達によって生み出されたという話が浮上する事が出来る。
「そんな事を……」
これはまだ話をしている途中、まだ敵対しているリディからの言葉。
その言葉を全て信じなくても良いのだが、
「だったら……麗騎兵の話はどうなるのですか?」
「あなただって知ってる事よ、アフレクションネクロマンサーは複数人いると。麗騎兵を創り出したのは別のアフレクションネクロマンサーで、初代のアフレクションネクロマンサーとは別人なの」
「…………」
理屈が、筋が通ってしまっている。




