異世界のアフレクションネクロマンサー718
間違った認識を取り払う物を見せると言ったのに、その何かは無い。
こんな状況で騙されたというのか?悪ふざけ?それとも顔を上げさせるための……
「……まぁ、これに気付いけないのは、仕方無い事だな。私も、言われるまでは気付かなかった」
「これ?これってどれ?」
レンスは、まるで「何か」を提示しているかのような口振りで話し掛けて来る。
助け舟を求めるつもりでは無いが、レンスの主君であるリディ、自分達の身の保証をしているレインに、視線を動かし、この状況が悪ふざけでは無いのかと探るが、二人はいたって真面目な面持ちをしている。
そこから考えて、この状況は悪ふざけでは無く、レンスは本当に「何か」を提示している。
(レンスが見せている物……)
レンスの見せている物……レンスの中で唯一違う物があるとすれば、
「アフレクションネクロマンサーの服……」
あの特徴的な服。
耳を短く切ったアフレクションネクロマンサー証明と並ぶ、異界の洋服。
アフレクションネクロマンサーと証明するには、弱い品物だとレンスは言ったが……
「洋服では無い」
「えっ?」
レンスが首を横に振る。
「だとしたら、何だと言うの!!」
レンスの持っている物で、他に特徴的な物と言われも、もう何も無くて……白旗を振るつもりでは無いが「何か」を教えて貰わなければ話にならず、つい語尾が強くなる。
「すまないな、これは悪ふざけでは無いのだ。私が初めて、この世界の真実を教えられた時の衝撃を、お前にも味わって欲しいんだ」
そんな、イラつきを覚えるリーフに、レンスは冷静に対応し、
「けれど、話を進めよう」
レンスは、リーフの足先から、頭のてっぺんまで舐めるように見て、
「それでは聞くが、私とお前の違いは何だ」
「あなたと私の違い?」
「そうだ。私の足先から、頭を舐めるように見るんだ。深く考えなくて良い。ただ、見えた違いを言うんだ」
今度は自分に、レンスの足先から頭のてっぺんまで、見てみろという。




