異世界のアフレクションネクロマンサー715
「まず、ここに居る全員に知って貰いたいのは異世界があるという事。この世界は本来、エルフだけの世界だという事。これだけを念頭に置いて聞いて欲しい」
二人の間に割って入ったレインだが、ここにいるオーク、エルフにも前口上を聞かせると、事の問題は全員に関わる事を伝えてから、
「私の世界では、異世界があるというのは昔から認識されていた」
口を開いていく。
「次元の狭間に落ちてしまっても、それは運命だと気に留めなかったのだが、とある日に「自分は異世界で、生まれたリザードマン」だと、名乗るリザードマンが現れたのだ。そのリザードマンが言うには、祖先がエルフという人種に召喚されて、奴隷にしたという話だった」
「リザードマンを奴隷に……あれだけの力を持つ、リザードマンをエルフが奴隷に何て出来るんですか?」
「リザードマンを召還したエルフは、何が来るのか分からなかったのだから、保険を掛けたのだろうな」
「そんな……」
「そのエルフは生きる為に、リザードマンを召還したが、リザードマンの力に魅了された者達が、乱獲するように次々とリザードマンを召喚しては、服従させて戦わせていた。それを聞いた当時のリザードマン達はもちろん激怒した」
「それでどうしたのですか……」
「召喚される場所の特定は出来ていた……だから、そこに一人だけ、ドラゴンが待ち構える事になった」
「ドラゴンが……」
「そうだ、こちらの目論見通り、この世界に召喚された」
「ここからは、私から話しましょう」
レインが、自分のいた世界の事情を話を繋ぐために、今度はリディが口を開く。
「そして、この世界に来たドラゴンは、奴隷にされていたリザードマン達を救い、この世界の侵略を始めたの。争いの道具として、使われた者として、その代償としてこの世界を貰う事にしたの」
「…………」
それは、自業自得なのだろう。
何も関係無い世界から、違う人種を連れて来て争わせる……その罪深い行為は、この世界を奪われたとしても、何一つ言い返す事は出来ない。




