異世界のアフレクションネクロマンサー710
まるで懐かしい顔を見たかのように、二人は互いの名を呼び合うが、
「……鉄騎兵の指揮官を任せられているって言ってましたね」
リーフは、レンスを警戒する。
レンスは、一度見逃すという話をしたが、それを反故しよとしたのだ、警戒をしない方がおかしいという話。
自然と体に力が入り、無意識に翼が羽ばたき、
「その…背中の翼は……」
白金に輝く翼から、羽が舞うのを見たレンスは、驚きの余りに言葉が詰まる。
アフレクションネクロマンサーの光。
レインの白金の姿に、拠点の中で見たアフレクションネクロマンサーの羽。
この世界に、二人のアフレクションネクロマンサーがいるというのは分かっていたが、目の前には三人目のアフレクションネクロマンサーがいる。
拠点の中で会った時は、そんな兆候は無かったはずなのに……
「そうですね。話に聞いていたのは男性のアフレクションネクロマンサーという話でしたが、あなたは女性で、しかもエルフ……とても不思議なアフレクションネクロマンサー」
「あなたは?」
言葉が詰まった、レンスの代わりに声を出したのは、一人の女性のリザードマン。
見た目は……見た目は普通のリザードマンで、女性だからか体が少し小さく、丸み帯びているの特徴的だが、それよりも、鏡のように磨き上げられた銀の鎧が気になった。
周りの鉄騎兵の鎧は、戦闘で傷付いてるとはいえ、それを差し引いても銀色の鎧であって、鏡のように磨き込まれてはいない。
鎧を鏡のように磨き込むというのは、戦いにおいては何ら意味を成さず、強いて言えば太陽の光が反射して眩しい位か。
戦闘において、あまり意味のなさない鏡面仕様に意味があるとすれば、
「リディ様!!」
「リディ様……この人が?」
自分が特別な存在……それこそ、御旗という事を誇示す時であろう。
「初めまして、アフレクションネクロマンサー様。お会い出来て光栄です」
「は…はい……」
散々、多くの者達の命を奪って来た根源。
震えて命乞いをしようが、年端もいかない子供だろうが、関係無しに虐殺をさせた主導者なのに、
「もう一人のアフレクションネクロマンサー様にも、お会いしたいのですが、紹介して頂けますか」
その柔らかい口調、朗らかな表情は、そんな凶悪な事をさせる様な人物には思えない。




