異世界のアフレクションネクロマンサー707
この状況で、相手をおちょくるだけの度量があるというのなら大したものだが、
「もう一度言うが、今は話し合いをしている。友好を結ぶ為では無いが、敵対する為でも無い……生き残りたくて、口から言葉を漏らしてしまったというのなら、言葉を変える事だな」
「私がアフレクションネクロマンサーというのは間違いありません……今は力が使えないだけです」
「…………」
どうやら、おちょくっているような雰囲気では無いが、特別な力を感じる訳では無い。
これがアフレクションネクロマンサーという名乗りじゃなくて、ただアフレクションネクロマンサーと関わったと言えば、何も力を感じなくても文句は無かったのだが……
「……待て、君が持っているそれは何だ?」
「えっ?」
意地を張る子供のように、頑なにアフレクションネクロマンサーと名乗る女性の胸元にあるペンダントに目が行く。
目を細め、注意深く胸のペンダントを見ると、力の違和感を感じる。
「……それを触らせてくれないか」
「これは大事な物で」
「多分だが、それが原因じゃないのか」
「これが原因?」
女性のエルフは、自分の胸元にあるペンダントを大事そうに握り締めるが、十中八九それが悪さをしている。
「それはアフレクションネクロマンサーから渡されたのか?」
「…………」
「そうか……私に、渡さなくて良いから隣の人に持って貰うと良い。それで、力が発揮出来るはずだ」
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リーフは、自分の胸元にあるペンダントを握り締める。
礼人から貰った、悪霊から身を守る為のペンダント。
一人前のアフレクションネクロマンサーになるまで、私の身を守ってくれると……
「あっ……」
「何か思い当たる事でも?」
「おじい様……ペンダントを預かって貰っても」
「あぁ……」
礼人は確かに言っていた、私の身を守ってくれると……でも、それがどうやって守るかは、具体的には言っていなかった。
手にしていたペンダントを外し、ビレーにペンダントを手渡すと、
『バァサァッ!!!!!!』
あれ程、上手く扱えなかった霊力が、嘘のように身体の中を巡り、塞き止められていた分が解放されたかのように、勝手に霊力の翼が広がった。




