異世界のアフレクションネクロマンサー706
『ズシ…ズシ…ズシ…ズシ…』
「まっ…待ってくれ!!」
「安心して貰いたいな。そちらが友好的なら、殺し合いには発展しない」
相手にすべきなのは、アルフアというエルフでは無い。
年老いたオークと、エルフの女性がいる前まで移動して、
「改めまして、私の名前はレインと申します。あなた達の名前を教えて頂けますか?」
真に話し合うべき者と対面する。
「…………」
周りの者達は緊張から怯えているというのに、目の前の年老いたオークの目は闘志に燃えている。
「納得出来無い……という事でしょうか?それならそれで構いません……が、起きている事から目を背ける事は出来ても、動き出した事情は止まらない……そうでしょ?」
年老いたオーク……リミィからの話で聞かされていたが、オークというのは前線でこき使われるから、老人まで生き残れる者はそうはいないと……逆を言えば、年老うまで生き残っている者がいれば、それは……
「おじい様、私なら大丈夫ですから……」
「無理をするんじゃない、ワシに任せておくんだ」
「うぅん……これは、残された私がしないといけない事だから」
エルフの女性が、年老いたオークの手を押し返して一歩前に出て、
「私も…アフレクションネクロマンサーです。異世界から来たアフレクションネクロマンサーに導かれて、この世界に生まれたアフレクションネクロマンサーです」
自分がアフレクションネクロマンサーだと宣言する。
「異世界のアフレクションネクロマンサーが生んだアフレクションネクロマンサー……それなら何か力を見せて貰いたい」
それはレインにとって、思わぬ返答。
まさか、アフレクションネクロマンサーに運命を狂わされた事で、アフレクションネクロマンサーに自身が生まれているとは思わなかった。
彼女が、自分のようにアフレクションネクロマンサーの片鱗を見せるの、心待ちにすると、
「それは……出来ません……」
「出来ない?この状況を分かってて言ってるのか?」
これまた、予想だにしていない返答をされてしまう。




