異世界のアフレクションネクロマンサー704
「…………」
核心を突かれた訳では無い、話をしても良い事なのだが……
「あの…知らないとは?」
あれ程、虚勢を張っていたエルフも、こちらの態度に不安を覚えて、おずおずと聞き返して来る。
「……君達の知らない事は、後で話す人が来てくれます。時間稼ぎではありませんが、私の質問に答えて頂きたい」
「わ……分かりました……」
エルフは不安を覚えているが、その不安に応えるのは異世界から来た自分よりも、この世界のリディの方がふさわしい。
「アフレクションネクロマンサーによって、運命を狂わされたと思える方を紹介して欲しい」
「運命を狂わされた……?」
「そうです。運命を狂わされた人ですが……話したくない事ですか?」
アフレクションネクロマンサーは、ざっとで言えば、エルフ達にとっては英雄的な存在、その英雄に運命を狂わされた人物は秘匿したいという気持ちもあるのかもしれないが……
「あの……運命を狂わされたとは、どういう意味なのでしょうか?」
「とぼけてるのか?」
「そうでは無くて……あたなアフレクションネクロマンサーに付いて何を知っているのですか?」
(そこまで、知らないのか……)
唯一すがるべき相手の事すら、知らない者達……それは憐れというよりは恐怖を覚えてしまう。
(元々、そういう存在とはいえ……本気なんだな)
異世界から、この世界に来て、リディ達にいろいろ教わったが、それでもこの惨状を直接見せられると気分が悪くなる。
「良いでしょう。アフレクションネクロマンサーというのは……」
レインは、アフレクションネクロマンサーが運命を狂わされる者という事を教える。
何か具体的な例を出すとかでは無いが「アフレクション」の意味を教え、
「そんな…アフレクションネクロマンサー様が……」
「彼は、自分の役目を終えたが、まだ事は終わっていない。ならば、アフレクションネクロマンサーは何かを残したと考えるのが、妥当なはずだ」
礼人と呼ばれていたアフレクションネクロマンサーが、眠りに付いた事も教える。




