異世界のアフレクションネクロマンサー701
「我々には、まだアフレクションネクロマンサーが必要なんだ……」
ビレーは、礼人の事を信頼している。
出会って間もなくて、全てを知っている訳ではなく、自分よりも小さな年端の行かない子供……それでも胆力は人一倍で、人を導くだけの魅力がある。
もしも、礼人の事を養子にするという話が出れば、喜んで自分の息子にする……それ位には、礼人の事を気に入っている。
(連れて帰るんだぞ…リーフ……)
リーフも大事な娘のような存在だが、そのリーフには、アフレクションネクロマンサーである礼人が大切になる……これは二人の再びの試練……二人の絆が試される。
空を浮かぶ化け物の時のように、二人が無事に帰って来るのを待っていると、
『バサッ…………バサッ……………』
崩壊する赤い森の中から、何かが羽ばたくのが聞こえて来て、何が来ているのかと上の方に顔を向けると、
「あ…あれは!!!?」
「リーフ様!!!?」
「オヤジ!!!!さっきのと違う奴か!!!?」
リーフを胸に抱き寄せて飛んでいる、羽を持った大きな赤いリザードマンが、こちらへと近付いて来ている。
アフレクションネクロマンサーを……礼人を取り戻す為に、赤い濁流の中に飛び込んだはずのリーフを連れて来る姿に、周りの者達がざわめくが、
「落ち着け!!!!刺激をするな!!!!もしも相手が本気なら、我々はもう死んでいる!!!!」
ビレーは、ざわめく声で、大きな赤いリザードマン刺激しないようにと命令を出すと、ざわめいていた者達が口を閉じる。
大きな赤いリザードマンの手の中にいる、リーフを捻り潰されないように沈黙する中で、アルフアがベルガの側に寄り、
「ビレー殿……私は、あれと会話を試みないといけない……何か御存知なら教えて欲しい」
小さな声で耳打ちをする。
フレンがいない以上、この場で判断をしないといけないのはアルフアだが、目の前に迫る初めての生物に、どう対処したら良いのか分からない。
それこそ、話が通じる相手なら対話も試みるが、もしも対話が通じない相手なら……戦わざるを得ない。
ビレーも、頭を少し横に向けて、
「ワシも、祖父から聞いたのだが……あれはドラゴンだ……」
「ドラゴン……?」
目の前に迫る、大きな赤いリザードマンをドラゴンと呼ぶ。




