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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー697

『ぅぅぅぅ…………』



『ポタポタポタポタ…………』



赤い大樹がすすり泣き、小粒の赤い涙が、大樹の葉から(こぼ)れ落ちて、アニーの鎧が赤く染めるが、



(良いのですよ礼人……私は罪を償いたい……)



赤い大樹は泣くだけで、アニーを侵食しようとはしない。



それは礼人が、赤いモノを(ぎょ)してくれているから、礼人は、アニーからの告白を聴いてもなお恨む事無く、アニーを慕う。



自分の事を侵食しない礼人に、アニーは両の手を広げたまま近付いて行く。



(覚えてますか礼人?我々の禁忌は妖怪化するだけでは無い事を……我々のもう一つの禁忌は、仲間の命を吸って戦う事。強大な力を手にする代わりに仲間が死ぬからです)



二月がした禁忌……もう死に掛かけの老兵となっていた二月でさえ、礼人の生命を吸えば、あの異世界を越える為に創られた特別な鉄騎兵を、倒す一歩手前まで追い込んだ。



(貴重な霊能者がいなくなる……倫理的に問題がある……でも、この禁忌はとても強力なのです)



アニーは、礼人が眠る大樹に手を合わせ、頭を擦り付ける。



(これから礼人の霊力に、私の魂を反応させます……けれど、赤いモノと完全に融合してしまった礼人を救う事は出来ません……私がこれからするのは、あなたを封印する事です)



『ポタポタポタポタ…………』



(今の私には、あなたを救う事は出来ません……けれど、ここで封印する事で時が止まります)



神隠しは、遠い世界に飛ばされたりするだけでは無い、昔の時代に生きていた人が、未来の時代に来てしまう現象も神隠しの一種であるのだが、アニーはそれを、自らの手でやろうというのだ。



(多くの不治の病と言われた病気も、時代が進む事で薬で治る様になりました……妖怪化してしまった体も、治せるようになっているかもしれません)



礼人の霊力と、アニーの魂を結合させたとしても、この大陸に広がる赤いモノは消し去る事は出来ない……しかし、礼人を封印する事は出来る。



礼人封印する事で時を止めて、いつか……新たな霊能者が礼人を救う事を祈って……



(私もアフレクションネクロマンサーになります……礼人の死に逝く運命を狂わせる為に……)



アニーの体が、赤い大樹の中へと吸い込まれた。

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