異世界のアフレクションネクロマンサー688
恐れおののいて、怯えて、闇雲に攻撃して来ている……そう答え付けるのは簡単だが、
(アフレクションネクロマンサー……その程度では無いだろ?)
乗っ取られた赤いモノ達が、こうも戦えるのはアフレクションネクロマンサーの知識を使用している……それは、オークやエルフ達を守る為の交換条件だったのだろう。
あの霊体とは違う、異形のドラゴンもどきと戦うには、アフレクションネクロマンサーといえど力が足りなかった。
精神の深い所で赤いモノと融合する事で、ドラゴンもどきと戦える力を手にしたが……その結果としてアフレクションネクロマンサーは赤いモノに易々と乗っ取られた。
(今戦っているのは、アフレクションネクロマンサーの知識を持つ赤いモノ……)
手にした力に溺れずに、周到に戦えるのはアフレクションネクロマンサーの知恵があるから。
安易に、力の差があるから怯えているというのは、答えにしたくないが、
(だとしたら……なんなんだこれは……)
この無暗な攻撃の意図を読み取れない。
(こちらの力量を測っているのか?)
安全を確かめるために、石橋を叩いて渡ると言う言葉があり、それに対して、石橋を叩いて壊す……渡れなくすれば、心配の種が消えるという造語もあるが……
『『『ジュゥゥゥゥ!!!!!!!!』』』
自分という石橋は壊れない。
飛び掛かって来る超弩級ドラゴンの手をいなしながら、この状況を打開する方法を考える。
迫り来る超弩級ドラゴンの手を、圧倒的な力の差で跳ね除け、時折、数十体の超弩級ドラゴンの手に飛び掛かられて、体にぶつかれてしまうが、霊力を帯びた白金の体は、ぶつかった超弩級ドラゴンの手を溶かす。
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーの、何の時間稼ぎのならない攻撃の中、こちらは時間を掛けて……
『デュルゥ……』
「なんだ?」
手に、何か滑っとしたモノを感じて、手の甲を見ると、
「バカな!!!?」
手の甲が赤いモノで濡れている。




