異世界のアフレクションネクロマンサー687
「なんのつもりだ!?」
その驚きの声は、先程までの演技の声ではない。
本当に虚を突かれて、漏らしてしまった声。
超弩級ドラゴンの手は、大型のドラゴンと同じくらいの大きさがある……が、そんなのは関係無い。
どんなに大きかろうが、小さかろうが、赤いモノであれば、
『『『ジュゥゥゥゥ!!!!!!!!』』』
手をかざせば、簡単に消滅させる事が出来るから、
『『『ブッッジュゥゥゥッバッッサァァァァツッッ!!!!!!!!!!』』』
「また!!!!」
こうして、新たに超弩級ドラゴンの手が襲って来ても無意味。
無意味……霊力を使えるドラゴンに対して、超弩級ドラゴンを一撃で屠ったアフレクションネクロマンサーに対して、こんな事をしても無意味というのは、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーにとっても重々承知のはず。
いわばこの時間は、互いに次の手立てを考えるフェイズで、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーをどうやって捕らえるか、アフレクションネクロマンサーと化したドラゴンをどうやって吸収するか……それを考える時間のはずなのに、
『『『ブッッジュゥゥゥッバッッサァァァァツッッ!!!!!!!!!!』』』
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーは無作為に、羽を生やした手をけし掛けて来る。
次々と生み出される羽を生やした手が襲い掛かるが、
『『『ジュゥゥゥゥ!!!!!!!!』』』
それでは何にもならない。
考える時間を取らせないというのなら、それでも、一瞬で消すのだから意味を成さない。
(……それとも、霊力を使えるドラゴンに怯えているのか?)
自分でも言うのは何だが、人間であるアフレクションネクロマンサーより、ドラゴンであるアフレクションネクロマンサーの方が力が強い。
それは肉体的にも、マナ的にも……その昔、ドラゴンが人間に負けたという話は知っているが、それはあくまでも知恵と科学によった物で、種として超えた訳ではない。




