異世界のアフレクションネクロマンサー686
「………………」
圧倒的な力の差、白金の輝きは、圧倒的な質量差を持つ超弩級ドラゴンを無慈悲に溶かす。
胴体を溶かされて、地中に沈み込む超弩級ドラゴンの体の一部を見ながら、
(ダメか……)
思った通りにならなかった事に、落胆してしまう。
圧倒的な質量差を持つモノを、圧倒的な力で、一瞬のうちに消し去ってみたが、それが目的ではない。
繰り返しになるが、真の狙いはアフレクションネクロマンサーを捕らえる事。
指一本動かない状況で地に伏せていたのだ、あそこまで追い詰めたら、本体が出て来てもおかしく無いのに……
(どこまでも慎重な……)
小山のように大きな手で捕えれば、それで、このドラゴンの体を奪う事は出来た……もちろん、こちらには切り札である、アフレクションネクロマンサーの力があるのだから、実際には捕えることは出来ないが、それは結果論。
あの時点では、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーに、ドラゴンである自分が霊力を使えるというのは微塵にも感じさせていない……それでも、本体を出さない慎重さは、
「厄介な奴だ……」
面倒この上ない。
白金と化した翼を羽ばたかせて宙を飛ぶ。
(さてと、ここからが本番)
アフレクションネクロマンサーを捕らえる方法を、もう一度考え無いといけない。
さっきまでは、自分の身をエサにして乗っ取られたアフレクションネクロマンサーを誘う事が出来たが、霊に対して特化した、この白金の体を見せてはそうもいかない。
質量差がどれだけあろうと一瞬で覆す霊力、その力の恐ろしさは乗っ取られたアフレクションネクロマンサーの方が、自分よりも知っているはず。
この状態の自分に襲い掛かる事の無意味さは……
『『『ブッッジュゥゥゥッ!!!!!!!!』』』
「なっ!?」
無意味さを知っているはずの乗っ取られたアフレクションネクロマンサーが選んだ行為は、
『『『バッッサァァァァツッッ!!!!!!!!!!』』』
小山のような大きさの手が、超弩級ドラゴンの手だけが、手首から羽を生やしてこちらへと飛んで来る。




