異世界のアフレクションネクロマンサー680
長い首とはいえ、ドラゴンの首。
大蛇のように太い首には、並大抵の者が掴んだ程度では、首を絞める事も、へし折る事も出来ないが、
『ミシッ……』
(まずいっ!?)
自分の首を掴んでいるのはドラゴンの手、鱗が軋む音が首から伝わる。
このまま、奪われたドラゴンの手で首を絞められたら、首の骨まで折れる。
「ごほっ!?」
すぐ様に意識を手に持っていき、自分の首から手を離すのだが、
『バッ…バサァツ……』
「うっ……」
今度は、翼がおかしい。
まだ、完全には赤く染まっていない翼だが、斑模様に赤いモノが染み付いているせいで、感覚がおかしくなっている。
「逃げ道は!!」
このままでは、もう耐えられ無い。
このままでは、もう戦えない。
翼を広げて一気に、この赤い森の中から飛び出そうと……
『ギュゥゥ!!!!』
「ぐはっ!!!?」
同じ事の繰り返しをしてしまう。
逃げ出そうと翼に意識を持っていった所で、再び首を絞められて呻き声を上げ、
『バッ…バサァツ……』
「……!!!?」
そのタイミングに合わせて、翼を痙攣させられて、地面へと真っ逆さまに落ちてしまう。
このまま赤いモノが染みている地面に落ちるのも危険だが、首を絞められたまま地上にぶつかっては、それこそ衝撃で骨が折れる。
赤く染まる手に意識を回し、尻尾を振って姿勢を正し、翼をただ広げる事で意識を手に回したまま、滑空して地上へと降りる。
いつもなら翼を羽ばたかせて、降りる速度を調整するのだが、手から意識を外せないから、羽を広げるだけで、スピードが出ている状態のまま降下する。
まるで、空を飛ぶ事を覚えたばかりの、降り方を知らない鳥のように地上へと向かっていき。
『ザッ!!ザッザァァァァァァァァァァァァァァァァ!!‼!!!!』
足が地面に付くと、スキーで、板を雪に擦り付ける時のような音が響く。




