異世界のアフレクションネクロマンサー679
今回の作戦はエルフとリザードマン、両方の殲滅。
ドラゴンもどきの情報も、機銃車の情報も入っていて、今日という日が血みどろの戦いになり、特にエルフ側で多くの死人が出ると予測をしていた。
それなら、アフレクションネクロマンサーだけは生け捕りにして、こっちの陣営に引き込もうとしたのだが、生け捕りにしたいアフレクションネクロマンサーは乗っ取られてしまい、この始末。
自分が、何かをしでかした訳では無いのだが……正直、助けが欲しい。
『『『ヒュゥゥゥゥ……』』』
「くっ……」
赤いドラゴンの鳴き声が上空から聞こえ、顔を上げてみると、上空から赤い森が地上に向かって生えていて、その中を複数の赤いドラゴンが住処にしている。
自分が思っている以上に、赤いドラゴンが次々と創られている。
イレギュラーに見舞われてしまった事を、リディに言えば、決して責めたりはしないだろうし、無事に帰って来た事に喜んでくれるだろうが、
「……必ず、アフレクションネクロマンサーを連れ帰る!!!!」
自分が無事に帰って来た事を喜ぶリディを見るより、乗っ取られているとはいえ、アフレクションネクロマンサーを連れ帰って来た事に喜ぶリディの顔の方を見たい。
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『『『ヒュゥゥゥゥ……』』』
「何度来ようとも!!!!」
赤いドラゴンが次々と生まれては、黄金のドラゴンによって切り刻まれる。
反撃する事も出来ずに一方的に首を切られ、羽を切られて、腹に爪を突き立てられて、地上へと落ちると、
『ドチャァ…ジュブジュブジュブジュブ……』
その身を地中に吸われて、新たな体が創造されるのを待つ。
この状況では、どちらも攻め手を欠く状況に思えたが、
「もうダメか…………」
赤いモノに触れ続けた手の感覚が感じられない。
意識すれば、そこに自分の手があるのは分かるのだが、意識をしないと手を動かす事が出来ない。
まだ乗っ取られた訳では無いが、その前段階は終わってしまっている。
「……撤退するしかない」
赤いモノが染み付く翼は、まだ言う事を聞いてくれるが、これ以上赤いモノが染み付けば、翼を奪われて空を飛べなくなる。
まだ翼を感じられるうちに、この場から逃げ出す為に羽ばたく……
『ギュゥゥ!!!!』
「ぐっ!!!?」
翼に気を回した瞬間、手に染み込んでいた赤いモノに、手を奪われて首を絞められてしまう。




