異世界のアフレクションネクロマンサー678
冷たい水の中に手を入れて、手の感覚が無くなるような……自分の体なのに、自分で認知が出来なくなるような……
「怨霊か……」
サンプルとして触った赤い液体よりも、荒々しい。
『ドチャァ…ジュブジュブジュブジュブ……』
触れた赤いモノの総評している間に、赤いドラゴンが地面に叩き付けられるように落ちて、潰れたトマトのように『グチャァ』と潰れると、地面が沼になって赤いドラゴンを飲み込んでいく。
「死なないか……」
赤いドラゴンを倒したものの、殺した訳では無い。
それこそ、これは鉄騎兵と同じ、死なない兵士。
地中に埋まる赤いモノに吸収されて、再び姿を現すはず。
「こっちは…そうでもないのか……」
次の、新たな赤いドラゴンが現れる前に、赤い大樹を突いてみる。
これだけの赤い大樹があるのだから、覆い被さる様に襲って来れば、自分の事を捕らえる事も出来るのに、それをして来ないのかと不思議に思ったが、赤い大樹を触ってみると分かる。
こっちは言う程、熟成していない。
形を整えることは出来るのだろうが、獲物を捕らえて体を乗っ取るほどの力を感じない。
熟していない赤いモノが大樹となって目くらましとなり、熟成したモノが赤いドラゴンになるのが分かったが、それが分かった所で、根本的な解決にはならない。
目的は、この赤い森の正体を暴く事では無く、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーを生け捕りにする事。
それなのに、分かった事と言えば、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーは赤い大樹に身を隠したまま、赤いドラゴンを使役する事が出来るという事。
「面倒になった」
いくら自分を囮にしても、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーは姿を現す必要が無い、赤いドラゴンを向かわせて、戦わせれば良いだけ。
「これなら、一人でやれるというべきじゃなかった」
ここにいるのは自分一人だけだが、アフレクションネクロマンサーを生け捕りにする作戦は自分単独で行っているのではない。
今回のリザードンの侵攻作戦に合わせて、リディ達が後方から攻めている。




