異世界のアフレクションネクロマンサー676
新たに生えてきた大樹も燃やす……が、本数が多過ぎる。
ここは赤い世界、大樹を生み出すのは容易く、
「くっ……!!!!」
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーが生み出した、赤い森の中に迷い込んでしまう。
右を見ても、左を見ても、後ろ見ても……赤い大樹が生えていて、枝が互いに結び付いてる。
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーが、どこに隠れたのかと、どこにいるのかと探そうとしても、手掛かりも手立ても無い。
これはもうクジ運が無いとかの話ではない、当たりが逃げてしまうのだ。
こちらが狙えば安全な所に移動する……無数の赤い大樹のどれかに逃げてしまう。
(やるしかないか……)
あえて赤い森の奥に進み、体をゆっくりと回転させて周囲を見渡す。
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーは、自分に対して興味を持っている。
それが霊能者の肉体を使って、自分達の方がドラゴンより優れているという事を誇示したいのか、それともドラゴンの肉体が欲しいのか……その真意を推し量ることは出来ないが、それでも自分は囮になる。
自分の身を差し出し、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーを誘い出す。
ゆっくりと赤い森の中を飛び、時にはからだを一回転させて周囲を警戒する……まるで、魚釣りの生餌になった気分で、赤い森の中を泳ぐ。
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーを呼び寄せる生餌は自分だが、乗っ取られたアフレクションネクロマンサーを捕まえる釣り針も自分。
餌だけ食われるか、釣り上げるかの一本勝負。
乗っ取られたアフレクションネクロマンサーが、ダボハゼのように食い付く事を願いながら、赤い森の中を徘徊していると、
『ヒュゥゥゥゥ……』
「なんだ?」
奇妙な笑い声とは違うが、何かの鳴き声が消える。
急に聞こえる鳴き声に身を構え、放物線を描いて距離を取る様にして、何がいるのかと様子を窺ってみると、
『ヒュゥゥゥゥ……』
「あれは……」
鳴き声が聞こえる方にいたのは、赤いドラゴンであった。




