異世界のアフレクションネクロマンサー667
空から舞い降りるドラゴン。
眩い程に輝く黄金の体は、この世に生を受けた者達とは違う存在だというのを誇示し、頭から生える枝分かれした鹿のような雄々しい角は、ドラゴンの勇ましさを教える。
コウモリのように細く繊細な翼で、風を帯びながらゆったりと地面に降り立つと、時間が止まる。
突然、空から舞い降りたドラゴンは、まさに一線を画す存在。
種が違うとか、派生種とかの問題ではない……神が、渾身の想いで生み出した、完成した生命と言われたら、疑う事無く信じる事が出来て……
「……そうだったの」
黄金のドラゴンを見て、リーフはある事を確信する。
それは、周りにいる巨大な化け物が、ドラゴンを模倣した存在だという事。
大きな体に翼を持たせて、凶暴な力を思いのままに振るう……確かにそれは、とても驚異的な事であり、恐れおののくという恐怖心を植え付けたが、
「全然違う……」
恐怖で心を縛り付けるのと、畏敬の念によって、自ら心を平伏すのとでは話が違う。
『グゥルゥゥゥゥゥ…………』
あれ程暴れ回っていたドラゴンもどきも、真のドラゴンを目の前にして怯えている。
オーク等、道端の石だと言わんばかりに、傍若無人に暴力を振舞っていたが、その暴力も、本当の力の前では意味が無いと悟ったのか、大人しくしていたのだが、
「可哀想に……」
『『『『『グゥ…………オォオォオォォオオォオォォオオオォォオォ!!!!!!!!!!』』』』』
黄金のドラゴンが目を細めて、哀れみの念をみせた途端に、ドラゴンもどき達が咆哮を上げる。
それは先程までの、力を誇示する方向とは違う……怯える自分を奮い立たせる鼓舞する咆哮。
全てのドラゴンもどきが走り出して、黄金のドラゴンに向かって行く。
「救ってあげよう……怖いだろうけど、すぐに終わる」
こちらへと迫ってくるドラゴンもどきに対して、手を握って拳を作ると、体から光が溢れ出す。




