異世界のアフレクションネクロマンサー665
「リィィィフ!!!!」
「おじい様!?」
何も出来ない自分に意気消沈している所に、ビレーがやって来る。
最初の前線を担っていた者達は、鎧を脱ぐために時間が掛かっていたお陰で突撃が遅れ、あの銃弾の雨に巻き込まれないで済んでいた。
「今すぐエルフ隊を下がらせるんだ!!」
「でも…みんなが……」
「私情を挟まない!!あの化け物には魔法は一切役に立たない!!悪戯にみんなを死なせてはいけない!!」
「でもじゃない!!我々は元から死ぬのを覚悟している!!」
それはオークであるビレーだからこそ言える言葉であった。
フレンとアルフアにリーフは、オークに対して罪悪感がある。
それは、常に危険な事や面倒事をやらせているという罪悪感、汗水を垂らさせて重労働をさせ、血肉を流させて戦争をして……挙句の果てには、オークを犠牲にして逃げる……そんなのは出来ない。
最後のオークを犠牲にしてというのは、それだけは越えてはいけないライン。
どんなに被害を出すとしても、オーク達を見捨てるのではなく、被害が出るとしてもオーク達の助かる梯子を掛けたい。
「そこにいるのは……!?」
「アルフア様!?」
リーフとビレーが出会ったタイミングでアルフアも到着し、
「フレンは総指揮官の所に行って、時間稼ぎをしてくれている!!二人も早く下がるんだ!!」
アルフアはリーフから指揮を代わって、オーク達が逃げ切れるように時間稼ぎをしようと試みるが、
「エルフ隊は撤退!!魔法はあの巨大な化け者には効かない!!援護をせずに、振り返らずに撤退せよ!!」
ビレーが大きな声を上げて、撤退の指示を出してしまう。
「なっ…何を言っているんですか!?みんなが死んでしまいます!!」
総指揮官の伝令から時間を貰ったのに、これでは何も意味が無い。
「全員、援……!!」
「アルフア様!!!!」
アルフアはビレーに負けずと、大声を上げて援護するように命令を出そうとしたが、ビレーの張り上げる大声が、アルフアの命令を掻き消す。
「みんなでは無い、死ぬのは我々オークだけだ……君は、エルフのみんなを引き連れて帰りなさい」
「フレンが時間稼ぎをしてくれますから!!まだ諦めないで……!!」
「ならば、その時間で安全に退避させるんだ」
「そんな事、出来る訳無いじゃないですか!!」
「義理立てをしてくれるのは嬉しいが、どうにもならんものはどうにもならん……ここで残って時間稼ぎをするのはワシの方だろう」
まだ出来る事があるとアルフアが反論するが、ビレーは首を横に振って、出来る事何も無いと伝える。




