異世界のアフレクションネクロマンサー657
何を足を止めている!!犠牲者を出してでも叩け!!等とは口が裂けても言わない。
元々、リザードマンという自分達より優れた者を相手にして来たのだ。
それは、どれ程恐ろし事であろうか?
腕力だけは勝ると言っても、大人と子供の喧嘩のような筋力差がある訳では無い、あくまでもリザードマンの方が劣るというだけ。
現に、凶暴化して筋肉が膨張化しているリザードマンなら、オークと同等の筋力となる。
ポテンシャルが違う相手、その相手に立ち向かうというのですら勇気がいるというのに、圧倒的な体格を持っているT-REXもどきに、勇気を奮い立たせろというのは酷というもの。
『ドォォン……ドォォン……』
足を踏みしめるだけで足音が大地に響くと、種としての違いを感じていても戦っていた誇りが折れて、どうしたら良いのか分からなくなる。
茫然自失となって立ちすくむ事しか出来ないオーク達、目の前にいる化け物に目を奪われていると、
「「「「「オォォオォオオォォォォォオォォ!!!!!!!!!!」」」」」
背を向けて逃げ出していたはずのリザードン達が踵を返して帰って来る。
「くそっ!!そう言う事か!?」
罠に嵌められた。
この陣地は偽物、本当の陣地はもっと向こうの方にあるのだろう。
「後退……こうたぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
「「「「「…………っ!?」」」」」
礼人の叫び声のような大きな声が響く。
「態勢を立てなぉぉぉぉぉぉぉすぅぅ!!!!!!機銃車の射程距離までさがれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
機銃車を使っての、リザードンを追い詰める作戦は失敗に終わったが……しかし、失敗に終わっただけで負けた訳では無い、対抗する手段は残されている。
礼人の大声に、茫然自失になっていた者達に生気が戻り、
「前線引き下げぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!走れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
どうしたら良いのかと悩んでいた頭の中に、すんなりと命令が入って来る。
「さがれ……さがれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「立て直しだ!!!!立て直すぞぉぉ!!!!」
前進していたオーク達が踵を返して、後ろに向かって走り出す。




