異世界のアフレクションネクロマンサー651
しかし、今回は話が違う。
本国からの応援によって、こちらは無傷。
誰一人として欠けていない状況、一切の損害を受けていない前線がそのまま前に出れる。
それが何を意味しているのかは、誰にでも分かる事。
鎧を着たオーク達が道を空けると、ハンマーを持ったオーク達が次々と飛び出していき、道中で苦しみ、のたうち回るリザードマンの頭にハンマーを振り下ろして止めを刺すと、また走り出す。
オーク達は、後方に下がっているリザードマン達を逃がさないと追い掛け、リザードマン達は、後ろから追って来るオーク達に、追い付かれまいと逃げる。
完全に押し込んでいる状況ではあるが、ハンマーを持っている分、オーク達よりも、リザードマンの方が逃げ足が速い。
このまま追い掛けても、追い付けないという状況であったが、
「逃げ切れると思うな!!」
礼人は手を伸ばすと、地中から赤い布が複数飛び出して、何十人ものリザードマン達の足に絡み付く。
ドス黒い羽を羽ばたかせて疾走し、次々と逃げ出しているリザードン達を捕まえ、
「仕留めて!!」
「「「「「うぉおぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉ!!!!!!」」」」」」
後から追って来るオーク達に止めを刺させる。
それは不運としか言いようがない、礼人がいない所のリザードマン達は逃げ切れているが、礼人の通った所では、リザードマン者達の阿鼻叫喚の叫び声が響く。
「勝敗は決したな」
「もう手の打ちようが無い」
フレン達の双眼鏡には、陣を取っていたリザードマン達が、荷物を放置して逃げ出して行く姿が見えている。
まるで火事場から逃げ出すかのように、着の身着のままで逃げ出すリザードマン。
「良い判断をする」
「ここで、立ち向かって来たら全滅させられたんだけどな」
戦場に出ていた者達を見捨てるのは残酷だが、現状を見ればその判断も致し方無い。
相手には見た事の無い兵器があり、それによって凶暴化させたリザードマン達は一方的に処理されて、その後を追って来る、見た事の無い化け物に捕まえられたら最後、オーク達に止めを刺される。
完全に敗北へと向かう状況が出来上がって、反撃する手立てが無いのに立ち向かって、イタズラに命を散らす道理は無い。




