異世界のアフレクションネクロマンサー643
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「みんなの様子はどうだ?」
「こっちは大丈夫だ、特に目立った混乱は起きていない」
本国からの軍隊が来て、合同作戦となれば、みんなに双頭のプレッシャーが掛かる思われたが、そこは機銃車隊の総指揮官が上手くやったというのか……機銃車の速度では、軍全体の進行が遅れるからと、フレンとアルフア達を先に行かせて、陣地を構築するという形で軍を上手く分割した。
少しひねくれた言い方をすれば、身分が低い者の命令は聞けないという事なのかもしれないが、結果として、目立った混乱が起きていない事は良い話である。
「しかし、リザードンもこんなタイミングで仕掛けて来るなんてな……」
「いや、このタイミングだからかもしれない」
「このタイミングだから?」
アルフアは、大変な任務が終わったと諸手を上げられたはずだったなのに、リザードンの侵攻のせいで、争いをしないといけなくなった事に愚痴をこぼしてしまうが、フレンは愚痴をこぼさない。
「あぁ…裏切者のリミィは、リザードマンと手を結んでいただろ?その中に、向こうにとっての重要人物がいるという話が上がっていたろ」
「そうだったな……向こうにも話が流れているのか?アフレクションネクロマンサー様がこっちにいる事や、拠点を攻め落とす絶好の機会だという事が?」
「そうだ……だから、結構な規模での戦いになると思う」
アフレクションネクロマンサー様が現れた事によって、あの拠点の戦力が減り、強襲を掛ければ拠点を奪えると判断して、軍隊を差し向けたというのが話の流れになる。
「すまん、アルフア……少し休みたい」
「気にするな、本国からの機銃車隊が来るまで、こっちが見張っておくから心配するな」
「助かる……」
フレンは肩が凝っているのか、右肩を押さえて首を回してから、籠の中に入っていった。
「……皆さんも、どうか休んでください。今までずっと戦って来たのは皆さんなのですから、この合間位は、私に任せて」
「……助かります。ほらっ、休ませて貰うぞ」
フレンが先に休みに行った以上、この場を仕切るのはベルガの役目、礼人達を押し込みようにして籠へと向かわせるのであった。




